財務力の一段の証しか-米大型テクノロジー企業、配当金支払いに動く
(ブルームバーグ): 何年にもわたり成長を追い求め続けてきた米テクノロジー企業が、従来型の他業種企業のように、配当金を支払うようになっている。使い切れないキャッシュは放出して、定期的な配当支払いへとシフトすることは、企業の財務力を示す一段の証拠となる。
今年はさまざまなテクノロジー企業が四半期配当を導入しており、配当利回りは低いものの、こうした企業が今後も力強いキャッシュフローを提供できる証しと投資家は受け止め、株価の高騰につながった。
グーグルの親会社アルファベットは4月、1株当たり20セントの配当を発表し、株価は10%上昇。フェイスブック親会社メタ・プラットフォームズは2月に50セントの四半期配当を発表し、株価の歴史的な上昇につながった。クラウドベースの顧客管理(CRM)ソフトウエアを手掛けるセールスフォースとオンライン旅行会社ブッキング・ホールディングスも今年配当金を発表している。
ホームステッド・アドバイザーズの株式ファンドマネジャー、マーク・イオン氏は「今後、大手テクノロジー企業にとって配当は必須事項となるだろう。配当金を支払わなければ、事業がより不安定であることを示唆するとみなされることになると思う」と語る。
新たな配当は大規模な自社株買いが伴うケースもあり、人工知能(AI)が成長への追い風となる中で、株主還元に再び焦点が当てられていることを示している。投資家はこうした組み合わせが株価上昇を引き続き支えると期待する。
イオン氏は「素晴らしいのは配当と自社株買いを同時に行い、その一方でコスト削減と成長も果たしていることだ」と指摘した。いわゆる「マグニフィセント・セブン 」と呼ばれる大手テクノロジー企業7社の中で、無配なのはアマゾン・ドット・コムと電気自動車(EV)のテスラだけで、「アマゾンが追随しないのは難しいだろう」と語った。
コメント要請に対しアマゾンの担当者は、同社が最近行った決算時の電話会見でブライアン・オルサフスキー最高財務責任者(CFO)が株主還元ではなく、設備投資と負債返済に重点を置いていると説明したことに言及した。テスラはウェブサイト上で、当面、現金配当支払いの予定はないとしている。