財務力の一段の証しか-米大型テクノロジー企業、配当金支払いに動く
半導体大手エヌビディアの1株4セントの四半期配当は0.02%の利回りに相当し、2018年以来引き上げられていない。同社は昨年、280億ドル(約4兆3600億円)の営業キャッシュフローを生み出し、配当で4億ドル弱、自社株買いで95億ドル相当を投資家に還元した。ブルームバーグがまとめたアナリスト予想平均では、今年は580億ドルと、2倍強の営業キャッシュフローが見込まれている。
年初からメタ株は約35%、アルファベットは21%それぞれ上昇。高水準のキャッシュフローと堅実なバランスシートは、大型テクノロジー株が市場で好まれる中心的理由だ。
自社株買い
ただ依然として、株数を減らすことで1株利益を支える自社株買いは、こうした企業が株主還元を行う上で好まれる方法となっている。ブルームバーグがまとめたデータによると、マグニフィセント・セブンは今年、自社株買いに585億ドル近くを費やす一方で、配当には110億ドル弱を充てている。
メタの配当は500億ドル規模の自社株買い、アルファベットの配当は700億ドルの自社株買い承認がそれぞれセットとなっていた。10年余り前に配当金を支払い始めたアップルは先週、1100億ドルと米国史上最大規模の自社株買いを発表している。
フェデレーテッド・ハーミーズのシニアポートフォリオ・マネジャーで、配当投資に関する複数の著書を持つダニエル・ペリス氏は、「これらの企業はまだ自社株買いがメインで、配当利回りはそれほど高くない。だが、こうした方向に進みつつあることは示唆に富んでいると思う」と指摘する。
その上で「成熟しつつある企業が配当を発表するのは良い兆しだが、それは利回りが積み重なってきて初めて意味を持つものであり、まだそこには達していない」と同氏は論じた。
メタとアルファベットの配当利回りが共に0.5%足らず、アップルは辛うじてそれを上回る水準であるのに対し、S&P500種株価指数は1.37%となっている。