iPhone切り崩し…中韓スマホが日本市場攻勢、国内メーカーは?
韓国や中国などの海外スマートフォンメーカーが日本市場に攻勢をかけている。米アップルのiPhone(アイフォーン)の牙城を崩そうと、韓国サムスン電子は人工知能(AI)技術を搭載した折り畳めるスマホを日本で31日に発売する。また中国メーカーは幅広い価格帯の機種を日本市場に投入する。海外メーカーによる技術的な進化や幅広い顧客層の取り込みは、日本のスマホメーカーにとって脅威となる。国内メーカーが市場で存在感を示すためには、選択と集中が一段と求められそうだ。(阿部未沙子) 【グラフ】メーカー別スマホ出荷台数のシェア 日本時間の10日、サムスン電子は折り畳めるスマホの新製品「ギャラクシーZフォールド6」と「同フリップ6」を発表した。同社独自の「ギャラクシーAI」により、翻訳機能などを使える。 世界での発表と同時に、サムスン電子ジャパン(東京都千代田区)が日本での発売も発表。横田英明MM総研取締役副所長は「日本市場を重要視しており、いち早く情報を届けたい思いがあったのではないか」とみる。 どの通信会社でも利用できるSIMフリーモデルの価格(消費税込み)は、同フォールド6が24万9800円から、同フリップ6は15万9700円から。 調査会社のGfKジャパン(東京都中野区)が公表した2023年の折り畳めるスマホの販売動向によると、22年と比べて販売数量は継続して伸びており、ほとんどの機種が800ドル(約12万9000円)を超える価格だという。 サムスン電子からは今回、高価格帯の機種の発売となったものの、ほかの海外メーカーはさまざまな価格の製品をそろえる。モトローラ・モビリティ・ジャパン(東京都千代田区)は「モトローラエッジ50プロ」を発売した。消費税込みで7万9800円。エッジシリーズは最上位機種に次ぐ位置付け。仲田正一社長は日本市場について「非常に大きな成長を遂げている」とし「24年度も飛躍的な進化のためにエッジシリーズを使い、新たなユーザーの獲得に努める」と話した。 また、5月にフラッグシップ(旗艦)モデルを日本で発売した小米技術日本(シャオミ・ジャパン、東京都港区)は、低価格から高価格帯までの全方位で、日本市場における存在感を高めたい姿勢を示す。 MM総研(東京都港区)によると、日本における23年度のメーカー別スマホ出荷台数の占有率は、米アップルが首位で米グーグル、シャープ、サムスン電子、ソニーが続く。 出荷台数で上位に食い込む日本メーカーは存在するものの、苦戦を強いられた企業もある。実際、23年は原材料価格の上昇や為替の円安などを背景に携帯電話端末事業からの撤退や縮小が相次いだ。 海外メーカーが低価格や中価格帯も日本で展開することで「価格競争にさらされるため、日本のメーカーにとっては厳しい状況になるのではないか」(横田取締役)との見方もある。海外勢が日本市場を深耕する中、国内メーカーは価格帯と想定顧客の両面をにらみ、戦略を練る必要がありそうだ。