「学習塾」の倒産、過去最多水準で推移
生徒数減少、大手との競争で再び増加傾向に
学習塾の倒産がコロナ禍を経て過去最多水準で推移している。2024年1~10月の倒産件数(負債1000万円以上、法的整理)は32件で、前年同期(25件)比で28.0%増加。このままのペースで推移すると、通年の倒産件数は過去最多の2019年(39件)とほぼ同水準になる見通しだ。 倒産した32件を負債規模別にみると、1億円未満の小規模倒産が28件と大半を占めた。今年の負債額トップは、個別指導塾をピーク時に全国で約500校展開していた㈱個別指導塾スタンダード(福岡、6月民事再生法)の約60億3830万円で、2000年以降で2番目の負債規模となり、㈱教育春秋社(東京、9月破産、負債約10億円)が続いた。都道府県別でみると、東京(7件)が最も多く、大阪(6件)、神奈川(4件)が続き、16都府県で発生した。 学習塾の倒産は、少子化による生徒数の減少や大手との競争から2019年までは増加傾向だったが、コロナ禍では支援策もあって減少に転じた。ただ、主な学習塾利用層である6歳から18歳の人口は2013年(1488万人)から2023年(1351万人)の10年間で約9%減少(総務省「人口推計」)するなど、アフターコロナでも生徒数が回復せず授業料収入が減少し、倒産するケースが増加している。また、中堅クラスの学習塾では教室など設備投資のために借入金が膨らんでいるケースもあり、今後も少子化の深刻化やコロナ融資の返済負担による倒産リスクは拡大する公算が大きい。 なお、負債1億円以上の学習塾では、法的整理前に事業を他社に譲渡するケースも見受けられ、今後は倒産とともに事業譲渡などによって、業界再編が加速する可能性がある。