名古屋市が「待機児童ゼロ」を発表…でも解消されない不安
名古屋市は22日、今年4月1日時点で保育所に入れず、一時保育なども利用していない「待機児童」の数がゼロになったと発表しました。市は2011年と12年、待機児童数が全国ワーストでしたが、保育所新設などの対策を進め、初めて待機児童を解消。しかし、親からは「実態は違う」「保育の質はどうか」と厳しい声が聞こえます。
全国ワーストから対策強化
市によると、今年4月時点で認可保育所に入所を申し込んだ児童数は3万9,680人。そのうち、保育所に入れなかった児童数は1,122人。ここから、家庭保育室を利用している366人、一定基準を満たす認可外保育施設などを利用している8人、一時保育を利用している15人、育児休業中の保護者の子ども45人、特定の保育所への入所のみを希望している688人を差し引くと、ちょうどゼロとなります。これが国の定義する待機児童数の数え方です。 同様の統計で、名古屋市の待機児童数は11年に1,275人、12年に1,032人いて、全国の市町村で最多でした。市はこうした状態を解消しようと、10年度から4年間で60億円余りの予算をつぎ込み、入所枠を拡大する対策を進めました。昨年度は保育所を21カ所新設、6カ所を増築、家庭保育室を26カ所に増やすなどして入所枠を1,562人分拡大。保護者の相談に乗って保育サービスや幼稚園の情報などを紹介する嘱託職員「保育案内人」も全16区に配置しました。 こうして昨年は待機児童数を280人にまで減らし、今年はゼロに。今年度もさらに保育所を36カ所新設するなどして2,630人分の入所枠を増やす予定です。全国の政令指定都市では、千葉、京都、福岡などが同様に今年の待機児童をゼロと発表しています。 一方で、昨年「ゼロ宣言」をした横浜市では、今年20人の待機児童が発生してしまいました。これは「潜在的待機児童数」とも呼ばれる問題です。対策が進んで入所枠が増えると、入所をあきらめていた保護者が「それならうちの子も」と申し込み、定員をオーバーしてしまうという現象です。では、その保護者や関係者の声を聞いてみましょう。