名古屋市が「待機児童ゼロ」を発表…でも解消されない不安
「3歳未満」児の親に残る不満
「率直に、名古屋市の努力を評価したい。以前住んでいた川崎市ではまったく入園のめどが立たないくらいでしたから、助かりました」というのは昨年から2歳の子を市内の保育所に預ける母親(36)。ただし、「3歳児までが受け入れ対象の園で、次をどうしようかと心配しなくてはなりません。市が早急に待機児童ゼロを目指した結果、低年齢児対象の園や保育室が増えたとも聞きました」と話します。 2歳の子を認可外の保育所に預けていた母親(33)も「募集枠が少ない0-2歳で、無認可の託児所に預けている母親はまだいます。行政が把握していないだけだし、厳しい受け入れ基準の見直しも必要なのでは」と疑問を呈します。 市は保護者へのアンケートから「3歳未満児の31.5%が保育所入所を希望している」として、3歳未満児の入所枠を広げる対策を特に強化してきました。しかし、これが「3歳児までは受け入れる。その後は何とかして」という実態であると、親の不安はなくならないと言えます。 40代の保育士は「保育の質の低下」を懸念します。「新設の園では経験のない保育士が目立ちます。家庭保育室も増えましたが、保育士によって保育の仕方や方針が違っていて、そこをきちんと行政がフォローできているのかが心配。一概にゼロがいいと喜べません」。 ある子育て支援NPOの関係者は「まず待機児童という言葉から修正してほしい。子どもが保育園に入りたいけれど入れなくて待っているように思われます。大事な乳幼児期を自分で子育てできるよう、そしてうまく社会復帰ができるよう、制度を修正してほしいと切に願います」などと訴えます。 名古屋市では、待機児童対策にともなう保育料の値上げをめぐって昨年、河村たかし市長と議会側が激しく対立。激論の末、議会の大半が求める「値上げせず」の結論となりました。予算的な制約という面でも今後に不安を残しています。やはり問題は数字だけではないと言えます。 (関口威人/Newzdrive)