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「松岡が心配だった」第7戦1時間19分の中断
3連覇中の阪急にヤクルトが挑んだ1978年の日本シリーズは、ヤクルトが4勝3敗で阪急をくだし日本一に輝いた。最終・第7戦では、6回裏にヤクルト・大杉勝男氏が左翼ポール際に放ったホームランの判定を巡って、阪急の上田利治監督が猛抗議。1時間19分にわたって試合が中断される事態となった。 大矢: あのシリーズは、神宮が使えなくて後楽園でしたので、「後楽園にもう1回帰ってこような」っていうのが…。 徳光: そうか。第5戦まではとにかくやろうと。 大矢: はい。 徳光: つまり、負けるかもしれないけど1勝はしようと、そういう決意で臨んだわけですか。 大矢: そう。一番苦労したのは足立(光宏)さんでした。ちょうどいい高さにシンカーが来るんで、ほんとに右バッターは苦労してましたね。 徳光: 第7戦はその足立さんが先発だったじゃないですか。ヤクルトの先発、松岡さんの調子はどうだったんですか。 大矢: 調子は良かったです。でも、途中でお休みになっちゃってね、あれが、心配だったですね。 徳光: あの79分の中断が心配でしたか。でも、松岡さんは、まさに“天使の79分”だっておっしゃってましたよ。 松岡氏は「プロ野球レジェン堂」に出演した際、この中断を振り返り、「猛アピールのお陰で、ものすごく助かった。疲れて疲れて、ボールなんて自分で追っかける余裕ないんだもん。抗議がサッと終わってたら、多分、次のイニングに追っかけられてる」と語っていたが…。 徳光: 大矢さんとしては逆に心配だったわけですか。 大矢: 体が冷えちゃうんじゃないかなと思ってね。でも、その後もマツは普通に投げていけたんで良かったですね。
オールスターで体感したセ・リーグの好投手
徳光: オールスターではセ・リーグの好投手とバッテリーを組んだと思うんですけど、球を受けてみてどうでしたか。 大矢: そうですね、左ピッチャーだと、やっぱり江夏(豊)が一番速かったですかね。右バッターのアウトローの真っすぐ、ボールと思ったのもビュンと上がってくるストライクなんですよね。アウトローの真っすぐの威力ですごいと思ったのは江夏。 あと、江川(卓)も速かったです。江川の球って高めが速くなるんですよね、ブーンと上がってくる感じ。打ちにいっても打てないボールでしたよね。ずんずんずんずんって向かってくる真っすぐだったですね。 徳光: 平松(政次)さんのシュートはどうでした。 大矢: 平松のシュートはえげつないっていうか、体を巻くような感じで曲がってきましたね。シュートを打ちにいっても打てない。ボールを捕りに行っても思ったところよりも中に食い込んでくるっていうのが、平松のシュートでしたね。
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