【阪神JF・生情報】真面目で勝ち気で負けず嫌いな似たもの同士 スリールミニョン&永島まなみが歩む道
[GⅠ阪神ジュベナイルフィリーズ=2024年12月8日(日曜)2歳牝、京都競馬場・芝外1600メートル] 一頭で走っていると、実際の姿以上に大きく見せる馬がいる。阪神JFに出走するスリールミニョン(高橋康)もそうだ。彼女が走る姿を見て、430キロ前後の馬に見えるだろうか。いや、きっと見えないに違いない。前肢をグッと大きく上げると、空中で前にいっぱいに伸ばし、遠くに着地する。そこから伸縮し、また前肢を大きく上げる…。彼女の走りは、実にダイナミックだ。 「素晴らしいですよね。実際、完歩だって大きい馬と遜色ないんですよ」 走っているときのスリールミニョンが大きく見える秘密を、分かりやすく言葉にしてくださったのは彼女の調教にまたがる西岡助手。 見た目の感覚だけではなかった。大型馬と同じ完歩で走ってくる…つまり走るときのスリールミニョンは、本当に大きいのだ。それだけバネがある、ということだ。 新潟2歳S(7着)は、馬場の悪いところを通らされた。勝ったききょうSは、これならマイルまで行けるなと思わせた。超スローで折り合いを欠いたファンタジーS(6着)は、コーナーで一旦落ち着くことができたのに、そこからの下り坂でまたグッと力んでしまった。しかし、決してバタッと止まりはしなかった。負けたレースも全て、彼女の成長につながっている。追い切りを見る限り、走ることへの闘志の炎は、決して消えていない。 「すごく真面目な性格なんです。追い切りに行く前なんかは、たまに〝行きたくない~〟って態度でイヤイヤしたりもするんですよ。なのに、いざ坂路に入ると〝走りたい! 走りたい!!〟ってなっている。基本的に走ることは好きだと思います。競走馬として備わっていてほしい資質を持っている子です」(西岡助手) 走ることが好きすぎて行きたがってしまう面も、徐々に人間の意思に沿おうとしてくれるようになってきた。 「ときどき叱ることもあるんですが、〝分かってんのに何すんのよ!〟ってやり返してきますね。まなみにめっちゃ似てます」 真面目で、勝ち気で、大の負けず嫌い。スリールミニョンは普段の様子を全て知る西岡助手から見て、鞍上の永島まなみにうり二つなのだという。 「自分にそっくりなんだから、絶対に相性はいいですよ」 西岡助手は、まなみならスリールミニョンの内面を理解できるはずだと言う。永島騎手はスリールミニョン(フランス語で〝かわいい笑顔〟の意味)の名付け親でもあり、双子のようにフィーリングが合うパートナーでもあるのだろう。同じ勝負師の内面を持った彼女たちなら、お互いが、きっとお互いを理解できる。そのときに起こる化学反応は一体どんなものになるのだろう。その答え合わせを、これからの競走馬生活でファンに〝魅せて〟いく。
東スポ競馬編集部