明石市は、社会を変える希望の原理となった…泉房穂、東大時代の「恩師」と語る
「企業内部留保の還元」こそ現代最大の変革だ
菅本当は自治体財政にシワ寄せが来ないようにするのが国家の役割なんだよね。 泉今は逆に、国が民衆に負担増というシワ寄せを行っている。お金が企業の内部留保として溜まり続けているのに、民衆の手元になくなってるわけですから。そこの転換がポイントだと思います。 菅その転換を、経済的な「変革」と言うのか「革命」と言うのか、たしかに今の最大の問題で、日本企業の内部留保を吐き出させることができれば、循環は一変しますよね。経営者の認識が「内部留保を吐き出したほうが、長いスパンで見たときに企業にとっても得だ」となって、それが政治家を動かさない限り、この腐ったマインドは変わらない。内部留保を吐き出させない限り、経済のまともな循環はできないと思うわけです。それをなんとかさせる方法はありますかね。 泉方法はあります。政策誘導をかけて、内部留保を減らすようにすればいい。それを賃金にシフトしろと、そうでなければ課税するぞと。 菅インセンティブを与えることができれば、必ずしも財界が全部反対に回ることはないわけだよね。国政で政治家にそれができるかどうか、ですね。 泉国と明石は全然違いますけど、明石は市民に対してサービスを良くすることによって、地域経済の好循環を作ることができたんで、その結果、明石の商店街の多くも儲かっていて、過去最高利益のところもあるくらいなんですよ。建設業界も地価が2倍に上がってるから儲かってるんです。つまり、市民のための政治をやったら儲かるということだと思う。 菅そういうモチベーションをどう誘導するか。 泉大企業が自分の足を食うように国民負担を増やして、企業の儲けをゴマかしたって、お互いに不幸なんです。そうじゃなくて、民衆の手元でお金が使えるようにして、まさにお金が回るようになってくると、その結果モノが売れて経済が回る。モノを作り、モノを売る側ばかりに配慮するのではなくて、モノを買えるように配慮する経済にすればいい。そこが完全欠落している。つまり政治は民衆を見ていない。 アベノミクスの「経済は企業が発展してこそ、国民にもおこぼれが来る」という発想のままなわけだけど、そうじゃなくて、本当は、民衆がホッとしたり安心したり、将来不安が軽減されると経済は回るんです。どっちから回す、という回し方の問題やと思うんですよね。政治家は皆テーマは「経済」と言うけど、私のキーワードは「生活」なんですよ。「経済政策」ではなく「生活支援」なんです。それこそが経済を回していく。でもそれが国レベルでは伝わらない。皆企業サイドからやってことごとく失敗してる。悪循環ですよね。