世界に誇れるおいしさと文化「日本酒」…「熱かん」でも「冷や」でも楽しめる
会社員として働いていたころ、アメリカ人の上司に日頃の感謝の気持ちを込めて、その酒蔵の日本酒を贈った。世界中のおいしいものを食べてきた上司に「もっと飲みたい」と依頼され、追加注文して贈った。パナマ出身の女性に贈ったときも絶賛され、「日本のお酒って世界で通用するんだ」と驚いた。
日本酒は外国人にも誇りを持って紹介することができる文化だ。ただ、国内で日本酒の消費量は減少傾向が続いている。全国各地の酒蔵が元気になることを願っている。(61歳・主婦=神奈川県、2014年5月20日掲載)
おいしさと奥深さ知る
私は今まで、お酒というのは雰囲気を“飲む”ものと思ってきた。楽しいおしゃべりと笑いがあれば味は二の次であった。ところが先日、「日本酒のソムリエ」と仲間から呼ばれている人に勧められた日本酒をいただいて、その考えが間違っていたことに気がついた。
口に含んだとたんにその芳純な香りが広がり、のど越しは言うに言われず、食道を通過するときは冷たい液体がほのかな温かさを感じさせ、そしてはらわたにきゅっと染み込んでいく。
おちょこに2杯いただくと、ほろ酔いの感覚が体中に行き渡り、幸せな感覚に包まれる。もう十分に満足だ。こんなおいしい日本酒があるとは知らなかった。そのすべてを味わうためには、一人静かにいただくべきかもしれないと思った。
私の娘は農業大学の醸造科学科で学んでいるのだが、先月、新潟の酒蔵で実習を受けてきた。酒造りがどれほど細かい心配りが必要な仕事か娘から聞き、日本酒の奥深さを初めて知った。アルコールで酔っぱらうだけが目的では、作り手に、そして日本酒に申し訳ないように思う。
残念なことに、このところ、ワインブームに押されてか、日本酒の消費量は伸び悩んでいるという。寂しいかぎりだ。日本酒の伝統と技、そして作り手の情熱がいつまでも受け継がれていくようにと願っている。(50歳・市教育委員=千葉県、1999年1月23日掲載)