600㎞離れた生徒のダンスを教員がリアルタイム指導、NTT西日本とQTnetがIOWN構想の実証環境を構築
西日本電信電話株式会社(NTT西日本)と株式会社QTnetは、IOWN(アイオン)構想を活用した教育分野での利用実証として、600㎞以上離れた大阪府と福岡県の複数拠点でのダンスレッスンを実施すると発表した。 IOWNとは、NTTグループが2019年に発表した次世代のICTインフラ基盤で、最先端の光技術を利用し、低遅延かつ低消費電力、大容量・高品質のネットワークを実現する構想である。 今回の実証では、NTT西日本とQTnetが共同で、大阪から福岡の長距離実証環境を構築し、全国に拠点を持つ滋慶学園COMグループとリモートダンスレッスンと合同ダンスを実演する。具体的には、映像表示の遅延を少なくする技術を利用し、複数のカメラで撮影した生徒たちのマルチアングル映像を低遅延で伝送。この映像をもとに遠隔地にいる教員がリアルタイムで指導できるようにする。 この取り組みの背景として、教育施設や学習機会が豊富な都市部に比べ、地方では教育機会が限られている現状がある。リモートによる学習機会は増えているが、遅延やデータ容量不足といったネットワーク環境の制約により、限られた指導しかできない課題があった。 NTT西日本とQTnetが進めるIOWN構想では、都市部と地方部の教育格差の課題解決を目指し、超低遅延かつ高品質な映像伝送技術を活用して、現場にいるかのようなリアルタイム指導を実現する。両社は、この実証を通じて、物理的な距離や心理的な障壁を超え、遠くの人や物と空間や感覚を共有できる新しい体験価値を提供できるようにする。 同実証は、2025年の2月から3月を予定しており、大阪市都島区のQUINTBRIDGEと福岡市中央区のesports Challenger's Parkで実施する。NTT西日本は、チップの配線などに光通信技術を導入し、新しい光ファイバを利用したオールフォトニクス・ネットワーク(APN)の実証環境と大阪のデータセンター構築を担当し、QTnetは、山陽新幹線をメインとするルートを利用し、大阪のデータセンターと福岡間の光ケーブルの実証環境と福岡のデータセンター環境の構築を行う。 教育の未来における新しい技術の可能性を示すこのプロジェクトは、地理的条件が異なる地域間の教育格差解消に向けた一歩となることが期待されている。
こどもとIT,編集部