「まさかの2回連続追加招集された男」柏レイソル・関根大輝が代表経験で持ち帰ったもの…レベルが上がるたびに「急成長できる理由」を語る
世界レベルの練習に受けた刺激
最終予選に初めて呼ばれたパリ五輪組の藤田譲瑠チマと競うように、向上心をぶつけた。紅白戦では右ウイングバック、3バックをこなしたという。三笘薫や上田綺世らとマッチアップした経験は大きかった。一つひとつがあまりに刺激的で、カラカラのスポンジが水を吸い込むように己の養分となっていく。 関根の表情が自然とほころぶ。 「特に印象に残っているのは上田選手ですね。体の強さが抜群で、無理が利くというか自分のほうが絶対有利だと思うボールもキープされてしまうので。でも全体的にレベルが高いというのは思っていたとおりで、別に戸惑いとかギャップとかはなかったです。自分がそこに入って何もできなかったかと言われたらそうじゃない。まだまだ足りないものはあるけど、ボールを持っているときに自分のプレーはある程度出せました。ここは通用する、ここはまだまだというのも分かりました」 食事の席ではいろいろな選手のもとに出向いて積極的にコミュニケーションを取った。ピッチ内にとどまらず、ピッチ外でも目いっぱい吸収しようとした。代表の話、プレーそのものの話、アウェイの難しさの話、欧州の話……頭のなかにすべて書き込んだ。 ジッダでのサウジアラビア戦はベンチ外だった。スタジアムが人で埋まった完全アウェイの最終予選ならではのピリつくような雰囲気をスタンドから感じ取った。 「みんな言っていました。海外の場合、多少力の差があっても、ホームの雰囲気があまりに凄くて(アウェイチームが)なかなか勝つのが難しい、と。ジッダもまさにそういう感じでした。でもみんな地に足ついていて、誰も浮き足立っていない。海外でプレーしている選手たちはやっぱりさすがだなって、試合を見ながら感じていました」
呼ばれただけでも得られたものがある
自分がウイングバックや3バックに入ったらと想像しながら試合をじっと見つめた。早くこのレベルに達し、早くA代表の試合に出てみたいと心から思えた。帰国して臨んだ埼玉スタジアムでのオーストラリア代表との一戦も続けてベンチ外。その気持ちはますます強くなった。 関根の目に力が宿る。 「ベンチ外にするくらいなら代表に呼ぶ必要はないんじゃないかとか言われたりもしていますけど、個人的にはあのレベルを経験できてA代表の基準を実感できただけでモチベーションも、意識も上がりました。いつかプレミアでプレーしたいっていう目標がずっとあるなかで、Jリーグのなかではできていても代表ではできていないという課題が見つかったし、代表に行ったからこそ得たものがあります」 再び追加で招集された11月シリーズはこの1カ月で成長したことを示す場になる。プレーも意識も自分で納得できるまで引き上げていくだけ。成り上がりならぬ駆け上がりの炎を、心にメラメラと燃やしている。 <つづく>
(「サムライブルーの原材料」二宮寿朗 = 文)
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