意外と知らないマグロの種類と特徴:最高級クロマグロはお手頃価格に!? ミナミマグロ漁はピンチ
これまで大西洋と太平洋で資源管理策を設けてきたが、インド洋でも減少傾向にあり、今年から規制措置が導入されている。ただ、大幅な漁獲減につながるものではなく、「流通量や価格への影響は限定的」(マグロ団体幹部)との見方が大勢だ。
あっさりヘルシー、キハダとビンナガ
マグロ類の中で最も国内生産、輸入量が多いのがキハダマグロだ。年間の供給量は11.2万トンに及ぶ(2022年)。漢字では「黄肌」と書き、ヒレや体表が黄色っぽく、身はたんぱくであっさりとしていて、くせがないのが特徴。中トロはすしネタとしても人気だが、脂が少ないことから多くが「ツナ缶」の原料となっている。
最後に紹介するのは、ビンナガマグロ。魚体の側面に伸びる長い胸びれを、耳際の髪の毛を意味する「鬢(びん)」に例え、「ビンナガ」「ビンチョウ」と呼ぶ。赤身の色が薄く、ピンク色の「ビントロ」が回転ずしなどでおなじみだ。国内の水揚げ量はキハダマグロに次いで多く、魚価も安い。刺し身はもちろん、煮たり揚げたりしてもおいしく食べられ、キハダ同様、缶詰原料としても重宝されている。
それぞれの特徴をしっかりと理解して「マグロ通」になり、よりおいしく楽しい時間を過ごしてほしい。
【Profile】
川本 大吾 時事通信社水産部長。1967年東京生まれ。専修大学を卒業後、91年時事通信社に入社。水産部で築地市場、豊洲市場の取引を25年にわたり取材。著書に『ルポ ザ・築地』(時事通信社、2010年)、『美味しいサンマはなぜ消えたのか?』(文藝春秋、2023年12月)。