意外と知らないマグロの種類と特徴:最高級クロマグロはお手頃価格に!? ミナミマグロ漁はピンチ
遠洋マグロはえ縄漁船によって漁獲され、大半が冷凍物として流通する。コロナ禍の影響で、マグロ全体の輸入量が減少し、2022年度には静岡県清水港などでの水揚げ価格は上昇した。 ところが流通量が回復した23年度は、価格が急降下。日本かつお・まぐろ漁業協同組合(東京)では「清水港でのミナミマグロの大型魚(40キロ以上)は、1キロ当たり1500円ほどと前年に比べて4割急落した」と嘆く。遠い海域で操業するため、さらに燃油や資材の高騰、円安などが大きくのしかかる。同組合に加盟する漁船およそ75隻では、1隻当たりの水揚げ高が約7000万円減少。「ほとんどが赤字に追い込まれており、このままでは漁業経営を継続できない」(同組合)という。
ミナミマグロの遠洋漁船は、同じ航海ルートに生息するメバチマグロも漁獲する。操業する船が減れば、手頃な価格のメバチが出回らなくなり、家庭の食卓への影響は大きい。供給サイドは魚価回復を望むが、クロマグロに比べてブランド力が弱く、「南の海」や「暑いインド」でおいしいマグロが育つのかなど、消費者側の無理解がネックとなっている。実際には、豪州や喜望峰よりも南、つまり南半球のインド洋南部の冷たい海域が漁場であり、前述のように“通をうならせる上マグロ”なのだ。 需要を喚起するために同組合は、6月末からミナミマグロのプロモーション動画を公開。「味の特長やおいしい食べ方など、今後も積極的に情報発信していく」としている。
庶民のマグロ「メバチ」
高級なクロマグロやミナミマグロと違い、回転ずしやスーパーでおなじみなのがメバチマグロ。その名の通り、マグロ類の中では目がパッチリと大きいのが特徴である。養殖物はなく、流通するのは全て天然物。鮮やかな赤身は、あっさりしていながらもうまみは十分で、誰からも好かれる庶民派だ。
国内の水揚げ高は近年、年間2.6万トン前後だが、台湾や韓国、中国からの輸入が多い。年間供給量はおよそ8万トンで、クロマグロとミナミマグロを合わせた量(7.7万トン)よりも多い。漁場は太平洋や大西洋、インド洋の赤道付近と広い海域で、日本には大半が冷凍で入荷する。