意外と知らないマグロの種類と特徴:最高級クロマグロはお手頃価格に!? ミナミマグロ漁はピンチ
ただ、「クロマグロ=近海物の生マグロ」というわけではない。養殖に加え、太平洋の遠洋や大西洋で漁獲した冷凍ものもある。近年はマグロの世界的な資源管理のために漁獲枠が設けられており、特に太平洋クロマグロの規制は厳しく、近海物の流通は限られている。2022年の国内供給量6万1800トン(水産庁調べ)のうち、太平洋クロマグロの国内漁獲量は遠洋漁船も含めて約1万トン。それに対し、養殖生産量は2万トン強と約2倍で、さらに大西洋クロマグロの輸入量が約2.5万トンと上回る。
漁獲枠5割増で市場色めく!?
そんなクロマグロについて最近、「安く食べられようになるのでは?」と期待の声が高まっている。 北海道釧路市で7月中旬、中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)北小委員会が開かれ、日本の漁獲枠拡大で合意した。30キロ以上の大型で年間5614トンから8421トンへ1.5倍に、小型(30キロ未満)は4007トンから4407トンへ増える。大型クロマグロの増枠は3年ぶりで、小型は初めて。今後の資源に重要な役割を担う小型の枠は、大型に振り替えることも認められているので、来年の漁が好調なら大型クロマグロの漁獲は1.5倍以上増える可能性もある。 ただ、水産庁や市場関係者は、価格が下がるかどうかについては懐疑的。日本の漁獲枠は国から都道府県、さらに各漁協に分配され、遠洋漁業の大型船から、大間のような小型漁船まで、細かく振り分けられる。それぞれが操業する海域で、枠いっぱいまで漁獲できるかどうかは不透明だ。特に生鮮マグロの価格は、「その日、その時期の出荷量に大きく左右されるため、年間数千トン程度の増枠では、一概に安くなるとは言い難い」(豊洲市場の卸会社)という。 それでも漁獲枠の拡大は、少なくとも値上がり要因ではないのは確かなため、安く食べられることを願いたい。
ミナミマグロ、4割安でピンチに
クロマグロに次いで高級とされるミナミマグロについては今春、水揚げ価格が急落し、漁業者が窮地に陥っている。 ミナミマグロは主にインド洋など南半球で漁獲されるため、「インドマグロ」の通称で知られる。上質のトロや赤身が取れることから、魚のプロが集まる豊洲市場などで高く評価され、時にはクロマグロ以上の値が付くことも。同市場の競り人は「赤身が甘く、酢飯との相性が抜群。本マグロの人気は圧倒的だが、インドにこだわって仕入れている職人も多い」と話す。