レスリング協会が会見(全文1) 栄強化本部長から辞表「不徳の致すところ」
伊調選手とコーチへの4件のパワハラ認定
これに基づいて調査結果として事実認定がされておりますが、結論としては、明確にパワハラと認定された点が4点あります。1点は、23ページの(4)でございますが、平成22年2月、ナショナルトレーニングセンター、女子合宿中に、栄コーチが伊調選手をコーチ部屋に呼び、「よく俺の前でレスリングできるな」という発言をした。これが第1点です。 それから第2点は、25ページの(9)。平成22年9月のモスクワにおける世界選手権のとき、ホテルロビーで栄コーチが田南部コーチに対し、「伊調の指導をするな」との発言を行った。 それから24ページ(8)、平成22年11月、中国・広州でのアジア競技大会での代表選考に関し、理事会から女子強化委員会に選考が一任された際、伊調選手が外され、それに対する本人への説明がなかった。これは主体がちょっとはっきりしませんけれども、理事会から選考を一任された女子強化委員会の委員長であった、栄コーチの関与が疑われると、こういうことでございます。 第4点は、28ページの(4)。これはロンドンオリンピック当時ではなくてリオオリンピックの準備期間中の、リオ体制下のものでありまして、平成27年2月にナショナルトレーニングセンターの男女合同合宿中に栄コーチが、田南部コーチが外出したことを叱責した。これは外出したコーチはほかにもいたけれども、田南部コーチだけ叱責されていると。田南部コーチには正当な理由があったけれども、栄コーチはこれを勘違いしたのか、叱責をした。2人のコーチのうち、田南部コーチだけが叱責されたという点を捉えて、パワハラであるという認定を受けております。
合宿参加禁止や練習場妨害はパワハラ認定されず
そのほかに、26ページの(10)、若干、時期がさかのぼりますが、平成22年11月、ナショナルトレーニングセンターでの男子合宿中に、栄コーチが田南部コーチを部屋に呼び出し、「おまえ、何回言っても分からないのか。伊調の指導をするなと言ってるだろう」との発言をし、田南部コーチがこれに反発したという指摘がありまして、一応、パワハラに当たるという記載はあるものの、その後、栄コーチと田南部コーチがもう険悪な、けんか状態にあって、パワハラというスムーズな認定ができるかどうかは疑問だと、こういう記載になっておりますので、これは明確なパワハラ認定ではないけども、極めて黒に近いグレーゾーンと、こういうふうに理解しております。 これらの調査報告書が指摘された4点、ないし5点は、ほとんどが告発状に記載していない事実を捉えて認定しているもので、これを過去にさかのぼって調査委員会が細かく事情を聞いて認定していると、こういうことでございます。一方で、告発状が主張しておりましたロンドンオリンピック後、男子代表合宿への伊調選手の参加を禁止したとか、協会の幹部がリオオリンピック直前に、練習拠点であった警視庁への出入りを禁止したとか、現時点で練習場の確保を妨害されているという、それぞれの事実は認定されていないか、パワハラ認定されておりません。以上でございます。