初音ミクの人気の理由と未来
昨年2013年は、「初音ミク」のメディアミックスが加速した1年だったといえます。3月には人気曲「千本桜」がミュージカル化、4月には美術展「LOVE展」で展示され、8月にはライブフェス「サマーソニック」にも出演。11月には主演オペラ「THE END」が仏パリで遠征公演されました。このように今やネット上だけにはとどまらない人気を見せる初音ミクですが、なぜここまで人気になったのか、これからの初音ミクにはどんな可能性があるのか。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの芸術・文化政策センター長、太下義之さんに聞きました。
初音ミクとは?
いまでは、ネット上の人気バーチャル歌手になっている初音ミクですが、そもそもは、2007年8月にクリプトン社から発売された歌声合成ソフトウェアの製品名とキャラクターの名称です。名前には「未来から来た、初めての音」という意味が込められているそうです。 初音ミクをめぐっては、たくさんの二次創作作品が誕生しました。発売の翌月には初音ミクを使った動画がニコニコ動画に投稿され、9月には人気曲の一つ、「みくみくにしてあげる♪【してやんよ】」がアップされました。この曲はいまでは1000万回を超える再生回数を誇っています。 2008年2月に投稿された「桜ノ雨」は、合唱プロジェクトが立ち上がったり、2012年3月には小説化もされました。2011年9月にアップされた「千本桜」は、ミュージカル化された他、カラオケ「JOYSOUND」で2012年の年間3位に入り、女子高生のアンセムともいわれています。 このように、もともとはニコニコ動画などのネットに投稿された楽曲動画が人気となり、さまざまなジャンルに波及しています。ちなみに、初音ミクなどのボーカロイドで、オリジナル曲を作詞、作曲、編曲したりする人たちのことを「ボカロP」といい、担い手はいわゆるアマチュアがメインであることも特徴です。 ただ、あくまでプロ・アマの境があるわけではなく、例えば、初音ミクを起用した交響曲「イーハトーヴ」を発表した富田勲さんは「現役最高齢のボカロP」と呼ばれているようです。また、ボカロPの中からメジャーデビューした例もあり、2008年8月には、kzと、かじゅきPによる初音ミクのアルバム「Re:Package」がビクターから発売されました。