PGAツアー最多アンダーで優勝した松山英樹のドライバースウィングをAIで分析
この常にクラブヘッドと手の前後差が少ない松山選手のポイントは2つあります。まず1つはグリップで、松山選手は左右とも横から合掌するように握るスクエアグリップです。このスクエアグリップは、ストロンググリップやウィークグリップに比べてスウィングがシンプルになりやすく、クラブヘッドがプレーン上に沿いやすいのが特徴です。松山選手の他にはタイガー・ウッズやアダム・スコットがこのタイプです。
もう1つのポイントはトップの左手首の角度です。トップの左手首を見ると、まっすぐに伸びているのが分かります。松山選手のように左右のグリップがスクエアで、トップで左手首がまっすぐ伸びるとトップでクラブがターゲットと平行に近いトップになりやすくなります。
P6(ダウンスウィングでクラブが地面と平行)でクラブヘッドが手より背中側にあると、スウィング軌道はインサイドアウトになりやすい
最後にダウンスウィングのポジションを見てみましょう。P6(ダウンスウィングでクラブが地面と平行)のポジションで松山選手のクラブヘッドと手の前後差は、マイナス6.3cmで、わずかにクラブヘッドが手よりも背中側にあるのが分かります。この手よりもクラブヘッドが背中側にある場合、スウィング軌道はインサイドアウトになりやすい特徴があります。
そしてインパクトを見てみましょう。インパクト前後のスタンス幅の中でのスウィング軌道を表す「SWING DIR V STANCE」は3度のインサイドアウトです。先程のP6でのクラブヘッドが手よりもわずかに背中側にあったことで、スウィング軌道は3度インサイドアウトになっています。ただし、クラブパスは3度より0に近いはずです。 その理由は、通常ドライバーの場合はアタックアングル(縦の入射角)がアッパーブローになりますので、スウィング軌道に対してクラブパスはインサイドアウトの度合いが減少するからです。ですので、このショットは球の打ち出し方向から推測すると、おそらくストレートに近いドローと推測できますね。 今回は松山 英樹選手の後方からのスウィングを解説させて頂きました。開幕戦から35アンダーという驚異的なスコアで、2位に入ったコリン・モリカワが思わず放送禁止用語をつぶやくほど見事な勝利を飾った松山選手。今年はメジャー2勝目に期待したいですね!
北野達郎