その「もの忘れ」、更年期? or 認知症? 実はほとんどが〇〇です【更年期症状と間違えやすい病気に要注意! ⑫】
40歳を過ぎた頃から「もの忘れ」がひどくなったと思うことはないだろうか? 更年期のクリニックにも「もの忘れ」や「集中力の低下」などを感じて、これは更年期? ひょっとして認知症では? と心配になって来院する人が少なくないという。そんな脳に関する症状について、女性医学の専門医である小川真里子さんに伺った。
もの忘れのほとんどが単なる老化です!
最近、テレビを見ていてタレントの名前が出てこない。人と話していて固有名詞が出てこず、「アレ」や「コレ」が増えた。昨日食べた夕飯のメニューが思い出せない。何かをしようと思って部屋を出たが、することを忘れる。財布やスマホをどこに置いたか忘れる…といったことはないだろうか? 「私のクリニックにも、こうしたもの忘れがひどくなったのは更年期のせい? それとも認知症なのでは? と不安になって受診する方が結構いらっしゃいます。 でも、そのほとんどが単なる老化による『もの忘れ』です」(小川先生) この連載では、「更年期症状だと思っていたら、思いがけずに〇〇病だった」という例を紹介してきた。しかし、最終回となる今回の「もの忘れ」については、そのほとんどが認知症ではないという話だ。 「単なるもの忘れと認知症の違いは、『もの忘れは食べたメニューや固有名詞を忘れるのに対して、認知症は食べたことなど、経験したこと自体を忘れてしまう』という点です。これは大きな違いです。 私のところを受診した患者さんで、『先日は友人との約束をすっかり忘れてすっぽかしてしまった』と言う方がいました。でもよく聞いてみると、スケジュール帳にメモしていなかったりするのです。 40歳を過ぎた頃から男性ももの忘れが進むことから、原因はエストロゲンの低下とは考えられません。更年期によるこうした脳が関係する不調には、『ブレインフォグ』(頭の中にモヤがかかったようなぼんやりした症状)や『集中力の低下』はありますが、実は『もの忘れ』はありません。 若い頃はこんなことを忘れたことはないという人でも、重要なことはすぐにメモをする習慣をつけることをおすすめします(笑)」