「毒グモに噛まれた時は片腕が動かなくなった」…《毒生物に自ら刺される》YouTuberが、自分を実験台にする「深すぎる理由」
毒の痛みを体感することと筋トレとの共通点
必要性があったとしても、トゲを刺したり毒を体内に入れるのは、どう考えても痛く苦しいもの。しかし、動画の中の平坂氏は痛みに苦悶しながらもどこか嬉しそうにも見えることが多い。 「僕にとって『人間さえもここまで苦しめる生き物の毒やトゲ』は、特撮映画の怪獣を見るような『強くてかっこいい!』という感覚です。どんなジャンルでもそうですが、面白さを伝えるには本気で面白がっていないといけないと思うので、私が実際に、捕まえたり刺されたりして興奮している様子を伝えたいんです」 理屈としてわからなくもないが、他の誰もやりたがらない唯一無二の調査方法。もしかして、平坂氏は痛みで快感を覚える物好きなのではないかという疑問も湧いてくる。 「いやぁ、痛いのは本当に嫌いです。例えば、ご飯を食べていて不意に口の中を噛んだりすると、1日テンションが低いままです(笑)。ただ、トゲや毒の痛みを体感するのは、知識が増えていく充実感もあるので、あんな表情になっているんだと思います。例えば、筋トレは苦しいですが、引き換えに後から筋肉がつきますよね。それと同じような理屈で快感を覚えているのかもしれません(笑)」
危険動画をアップする社会的意味
同チャンネルについて、平坂氏自身は「おっさんが苦しんいでる姿を面白がっている人がほとんどだと思います」としながらも、社会的な意味がないわけではないと話す。 「図鑑には毒のある生き物は一括りに『毒があって危険』としか書かれていないので、ハチに刺されたように、瞬間的に痛みが走るイメージを持っている人が多いです。しかし、例えばセアカゴケグモに噛まれても、ほとんど痛みはない。噛まれたことに気がつかないくらいです。ところが、時間が経ってくると痺れが出てきて感覚や運動機能がなくなってきたりして、僕でも片腕がしばらく動かなくなりました」 この、世間ではイメージされていない症状の現れ方を伝えることに意味があるのだと平坂氏は続ける。 「例えば、赤ん坊がセアカゴケグモに刺されても、痛くないので泣くこともないはずです。でも、徐々に体が動かなくなっていきますし、体重も軽いので全身に症状が出る可能性もある。でも、毒の知識があれば『最近、近所でニュースになっているセアカゴケグモかも』と思えます。役立つ場面は限りなく少ないでしょうが、少しは意義があるかなと思ってやっています」 奇抜さを求めてではなく、愛と信念を持って危険動物に自ら襲われ続ける平坂氏。後編記事『「ヤシガニはパワーがヤバい」「オオスズメバチは刺された瞬間にバチンッ!」…異才Youtuberが語る「危険で痛すぎる」生物ランキング』では、数々の痛みを体験してきた同氏に、痛かった生き物ベスト3や、私たち一般人が気をつけるべき虫について聞く。
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