大谷翔平への“四球攻め”に不安はないのか…異例の2試合連続3四球にも地元紙は「四球を極める」監督は「自制心」を評価
好打者攻略の原則は、日米変わらず、内角攻めと四球攻めである。メジャーでは日本に比べて大胆な内角攻めが難しいため、大谷は序盤、チェンジアップで揺さぶられてきたが、その効果がないと見ると、トラウトの離脱が引き金となって四球攻めに“大谷封じ”の戦略が変更されたわけである。 四球攻めの効果はメンタルダメージにある。イラつき選球眼を乱し、ボール球に手を出すようになるとメカニックが狂う。ちょっとしたタイミングのズレから本来のバッティングを見失うことにつながる危険性がある。 大谷はそれでも四球による出塁機会を最大限に生かして2試合連続で8個目、9個目の盗塁を決めてチーム貢献した。 地元紙のロサンゼルスタイム紙は、エンゼルスの勝利を伝える記事の中で「大谷が四球を極める」と3四球を評価した。 記事は「日曜日までのメジャー307試合で大谷は1試合で3度の四球を選んだことが一度もなかった。彼はそれを2試合連続で果たし、二刀流スター(の大谷)はこの69打席で17四球(2つの申告敬遠を含む)を引き出している」と伝えた。 同紙も大谷への四球攻めを「マドン監督は、違いに気が付いているだろうか?」と危惧。マドン監督の「相手は彼にストライクを投げていない」とのコメントを紹介した。 「彼が打席でストライクゾーンを広げようとしない考えは気に入っている。彼が我慢を保ち、ゾーンを広く取り過ぎることをしていないことは大きい。過去に多くの四球を選んだ偉大な打者たちを見てきているだろうが、そうしたことも引き継がれなければならない」 その上で同紙は、「単純なように聞こえるが、マドン監督は大谷が見せる自制心を評価している。甘いボールが少なくなり、大谷の本塁打は17試合で4本塁打に留まっているが、彼のOPS(出塁率と長打率を合わせた打者指標)は.901から.924に上がり、規定打席に達している打者では、チーム最高となっている」と、大谷が四球攻めでスランプに陥る危険性は少ないという見解を示した。 選球眼のいい大谷に四球攻めから崩れる不安要素は少ないとはいえ、打席数が減れば本塁打チャンスが減るのが、現実。現在、ア・リーグの本塁打争いでトップを行くゲレーロJr(ブルージェイズ)は18本。大谷はガルシア(レンジャーズ)と共に2本差で2位につけている。 気になるのは大谷のタイトル争いに大きな影響を与えるトラウトの復帰時期。彼自身の途中経過報告によると、回復は順調とのことあが、まだジョギングも再開できておらず、早くとも復帰は7月にずれこむと考えられている。