年110万円以内の贈与は「非課税」のはずだが…年収1,200万円・49歳エリートサラリーマンの悲鳴…父の死から2年後、税務調査で〈多額の追徴税〉を課されたワケ【税理士が解説】
税務署がAさんにたどり着いた理由
「生前贈与」は節税効果の高い相続税対策であることから、子どもや孫のために活用している人も多いでしょう。 たしかに、贈与税には年間110万円の基礎控除があり、1月1日~12月31日までの1年間の贈与額が110万円以下であれば、申告と納税は不要です。 ただし、贈与契約の成立が前提となるため、贈与者(贈与する人)と受贈者(贈与を受ける人)の合意がなければ、税務署が生前贈与を認めない可能性があります。 贈与契約は口頭のやり取りでも成立しますが、第三者に証明できないため、贈与契約書を作成するなど、なんらかの証拠を残しておく必要があるでしょう。 また、税務署は、全国の国税局と税務署をネットワークで結ぶ「国税総合管理(KSK)システム」により、日本のすべての納税者の申告書がこのシステムで把握しています。 ここには、納税者が過去に提出した申告データやさまざまな税務データが蓄積されていることから、相続税の調査対象となった場合、その人の財産をおおむね把握することができます。 今回のケースでも、税務署がKSKシステムを確認したところ不審な点があり、銀行に問い合わせて預金の流れを調べることに。 その結果、毎年お正月に大きなお金の引き出しがあったため、税務署としては、この引き出した預金はタンス預金にしているのではないか? あるいは子や孫に贈与をしているのではないか? と疑問を抱き、税務調査の対象となりました。 お年玉は非課税ですが、それはあくまで“常識の範囲内”です。また、実質孫に対する贈与だったとしても、客観的に孫への贈与であることを証明できない場合、受贈者は親であると認定されることとなります。 110万円までの贈与は非課税であると広く知られているところですが、なにも証拠を残さず安易に行っている場合、のちの税務調査で、思わぬ課税を受ける場合があるためくれぐれもご注意ください。 宮路 幸人 多賀谷会計事務所 税理士/CFP
宮路 幸人
【関連記事】
- ▼税務調査官「これは税金とれませんね…」年収4,000万円の77歳夫が急逝…2年後、税務調査の現場で〈20歳年下の妻〉が差し出した“とあるブツ”【税理士の助言】
- ▼調査官の思うツボ…税務調査「トイレを貸してください」の真意
- ▼お年玉をくれないおばあちゃんなんて嫌でしょ…年金+パート代で月収15.5万円の68歳女性、“普通”を守るための“ハード”な現実【ルポ】
- ▼43歳サラリーマン、実家の仏間の床から出てきた〈タンス預金8,000万円〉に歓喜→1年後〈追徴税額4,500万円〉で悲鳴…家族すら知らなかった「タンス預金」が税務署にバレた理由【税理士が警告】
- ▼ナシゴレンはもう飽きた!資産家の父から3億円を相続した55歳元サラリーマンの悲鳴…税金対策のため「海外移住」も、“わずか2年で帰国”のワケ【税理士の助言】