年110万円以内の贈与は「非課税」のはずだが…年収1,200万円・49歳エリートサラリーマンの悲鳴…父の死から2年後、税務調査で〈多額の追徴税〉を課されたワケ【税理士が解説】
A一家に“新たな命”が…感無量の両親がとった行動
その後、Aさんが38歳のときに第2子(次女)が誕生すると、“お年玉”も増額。「長女と次女にそれぞれ110万円ずつ」と、毎年220万円を渡すようになったそうです。 それから月日が経ち、Aさんが47歳のとき、父親のBさんが87歳で逝去しました。大好きな父を失い、Aさんは年甲斐もなく号泣。しばらく悲しみから立ち直れずにいました。
2年後…税務署からかかってきた「1本の電話」
そして、父親の死から2年、ようやく日常を取り戻したころ、税務署からAさん宛に連絡がありました。聞けば、「相続税調査に伺いたい」といいます。 「きちんと申告したはずだが……どうしていまになって?」疑問をもったAさんでしたが、渋って疑われるのは損だと、素直に調査を了承しました。 税務調査官が狙う“お年玉” 調査当日、2名の調査官は、和やかな雑談から税務調査をスタートさせました。しかし、しだいに話題は、亡き父親の預金に移ります。 調査官「毎年、お正月に220万円のお金が引き出されていますが、このお金はなんでしょうか?」 Aさん「それは、父から私の子どもへの“お年玉”です。年間110万円までは非課税という風に聞いています」 調査官「なるほど。しかし、110万円ではなく220万円ですね。これはどうしてですか?」 Aさん「長女に110万円、次女に110万円で、2人分として220万円もらっていましたね」 調査官「そうなると、110万円を超えているので、さかのぼって贈与税の申告が必要ですね。また、亡くなってから3年以内の贈与は、相続税の申告に加算しなければいけませんので、その分の相続税の申告も必要となります」 調査官からの思わぬ指摘に、Aさんは次のように反論しました。 Aさん「いや、ちょっと待ってください! これは贈与時期からもわかると思いますが、実質孫に対する贈与ですよ。1人あたり年間110万円以内だから非課税じゃないんですか? それに、そもそもお年玉は『年末年始の贈答』だから、非課税のはずでは?」 しかし、調査官は冷静に告げます。 調査官「お年玉が課税されないのは、『社会通念上相当と認められるもの』と規定されています。お年玉というと、高くても1人あたり1~2万円ほどでしょう。それが110万円もの大金であれば贈与となりますし、受け取っているのがお孫さんではなくAさんということであれば、これはAさんに対する贈与です」 「そんな……そんなぁ!」 Aさんの悲鳴が虚しく響くなか、税務署はAさんに「約200万円の追徴税」を課したのでした。
【関連記事】
- ▼税務調査官「これは税金とれませんね…」年収4,000万円の77歳夫が急逝…2年後、税務調査の現場で〈20歳年下の妻〉が差し出した“とあるブツ”【税理士の助言】
- ▼調査官の思うツボ…税務調査「トイレを貸してください」の真意
- ▼お年玉をくれないおばあちゃんなんて嫌でしょ…年金+パート代で月収15.5万円の68歳女性、“普通”を守るための“ハード”な現実【ルポ】
- ▼43歳サラリーマン、実家の仏間の床から出てきた〈タンス預金8,000万円〉に歓喜→1年後〈追徴税額4,500万円〉で悲鳴…家族すら知らなかった「タンス預金」が税務署にバレた理由【税理士が警告】
- ▼ナシゴレンはもう飽きた!資産家の父から3億円を相続した55歳元サラリーマンの悲鳴…税金対策のため「海外移住」も、“わずか2年で帰国”のワケ【税理士の助言】