百貨店好調も「いずれ訪日客需要に陰りが出る」 伊藤忠系婦人服のレリアン社長
インバウンド(訪日外国人)によるラグジュアリーの購入が活況の百貨店。一方で中価格帯の国内ブランドなどは存在感が薄くなっている。伊藤忠商事傘下で婦人服ブランドを展開するレリアン(東京・目黒)の石田俊哉社長は「いずれインバウンド需要には陰りが出る。その時、百貨店は婦人服に回帰するはずだ」と指摘。先々の商機を見据え、顧客の若返りや既存顧客とのコミュニケーションに力を注ぐ。 【関連画像】石田俊哉(いしだ・としや)氏、レリアン社長。1967年生まれ。91年大阪外国語大学(現大阪大学)外国語学部卒。91年伊藤忠商事入社、ブランドマーケティング部門などを経て、2021年米レスポートサック社長兼最高経営責任者(CEO)、23年4月から現職 足元の業況はいかがでしょうか。 石田俊哉レリアン社長(以下、石田氏):我々の主戦場は百貨店です。百貨店幹部の方々と話すと、インバウンドの効果が非常に大きいと聞きます。特に足元の円安によって世界のどこで買うよりも安くなっている絵画や宝飾品といったラグジュアリーが好調です。以前は中国の方が多かったのですが、足元では欧米からも来ています。こうした状況の中、首都圏を中心に展開する大手百貨店は過去最高益を出しています。 レリアン 伊藤忠商事と三菱レイヨン、レナウンの3社が1968年に設立した。2019年から伊藤忠の100%子会社。婦人服ブランド「レリアン」と「ランバンコレクション」などを手掛ける。レリアンの主な顧客層は70代の女性で、百貨店を中心として秋田県を除く46都道府県に計約200店舗を展開している。 一方、インバウンドを除く国内の富裕層については新型コロナウイルス禍前と比べて同じくらいの水準か、そこまでは戻っていないかぐらいの水準です。大きく伸ばしているという状況ではありません。 我々のビジネスに対する影響については、百貨店の業績をラグジュアリーの部分が大きく引き上げているので「ラグジュアリーの方が売れるし、もうかるし、効率がいいよね」ということになっていると見ています。婦人服や紳士服の国産ブランドは少し横によけられつつあり、売り場面積を減らされつつあると感じています。効率が悪かったり不採算だったりするブランドには「出ていってもらいたい」「売り場を減らしてほしい」という話があるようです。 レリアンも苦戦しているのでしょうか。 石田氏:幸いにも、我々レリアンの売り上げ規模はなんとか頑張って数字をつくれています。これまでの長い歴史もありますし、百貨店のマネジメント層とのコミュニケーションが取れているので関係性も築けています。「出ていってください」とはなりません。ただ、売り場面積が多少小さくなったり場所を移ったりするというのは色々と条件を話し合いながら交渉しています。 レリアンは2023年に55周年を迎えました。我々の強みは顧客基盤がしっかりしているという点ですね。もちろん主な顧客層が高齢化しているということはありますが、他のブランドよりもファンがしっかりいると思っています。新型コロナ禍が落ち着いた後、そういう方々が店舗に戻ってきていただけるようになりました。