【精神科医が教える】職場で目にする「ソフト老害」…自分がならないようにする方法・ベスト1
誰しも悩みや不安は尽きないもの。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そんなときの助けになるのが、『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。心が落ち込んだとき、そっと優しい言葉を授けてくれる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日一日がラクになります! ● アナタはソフト老害? 今日は「ソフト老害」というテーマについてお話しします。 これは元放送作家の鈴木おさむさんが著書で使った新たな言葉ですが、老害は高齢者だけの問題ではなく、40代でも行動次第では老害にあたることを指摘したものです。 そもそも「老害」という言葉は少し嫌な響きがしますが、最近のニュアンスとしては、「自分が老害みたいになりたくない」という意味合いで使われることが多いように感じます。 ● 自分の価値を誇示する人 では、老害とはいったいなんなのでしょうか? 簡単にいうと「自分の価値を無意識に誇示する人」のことなのではないかと思います。 相手の立場を慮る人は、「老害」とも「ソフト老害」ともいわれないでしょう。そういう人は尊敬されて、自然とメンターのような存在になるのではないでしょうか。 一方、老害視される人は、自分の過去の栄光や成功体験にしがみつき、若い世代に共感されない独特の価値観を他人に押しつけることが多いように思います。 ● 謙虚さを見失いがち 年齢を重ねて40代以上ともなると、どうしても20代の頃のようなエネルギーやフレッシュな考え方、それに謙虚さを見失ってしまいがちです。 そうすると、年齢や経験そのものがアイデンティティになってしまい、それを誇示したいがための言動が無意識に多くなってしてしまうのかもしれません。 ● 言動のベースが承認欲求 では、尊敬される人と、老害と呼ばれる人の違いはなんでしょうか。それは、「自分軸」で生きているか、「他人軸」で生きているかの違いが大きいです。 尊敬される人は、相手の立場を慮って、自分の経験を踏まえつつも、相手のためになることを自然体で伝えられます。 一方、老害視される人は相手のことよりも「自分がどう思われるか」を気にしがち。つまり、「他人からよく思われたい」「自分が価値がある人間だと思われたい」「褒められたい」という承認欲求が言動のベースになっていることが多いのです。 ● 上滑りしてしまっている 「ソフト老害」という言葉が登場した背景には、「そこまで酷くはないけれど、承認欲求が強すぎるベテランさん」を指すニュアンスが含まれているのではないかとも思います。 要は、自分の価値をアピールしようとして、余計な言動をしてしまうけれど、それが上滑りしてしまっている人なんですね。 ● 自分の承認欲求と向き合う では、そうならないためにはどうすればいいのでしょうか。まずは「自分がどう思われるか」という承認欲求があることを認められるかどうかがポイントです。 そのことを受け入れられれば、自分が他人の目を気にしていることに気づけます。すると、いい年齢なのだから、自己アピールしてもみっともないと思うようになるでしょう。 自分が培ってきた知識や経験を必要なときに素直に伝える。それ以外の場面では余計な口出しをしないことが大切です。 ● ハード老害を回避する第一歩 求められてもいない場面で口出しをするのは、自分の存在感を示したいという承認欲求の表れです。そんなことをしてしまうと鬱陶しいと思われ、結果的に老害視されてしまいかねません。 そういえばアテクシも以前、父親に「年をとると余計なことを言いたくなるもんだ」と諭されたことがあります。それが年齢を重ねるということなのかもしれませんが、だからこそ自分自身が老害にならないためには、常に自分を省みて自重する姿勢が必要です。 40代のソフト老害を自覚することが、最終的にハード老害を回避する第一歩なのだと思います。 ※本稿は『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。
精神科医 Tomy