伝統の強打健在 「未完成」の智弁和歌山は成長途上 センバツ出場校紹介
伝統の「強打の智弁」は今回も健在だ。3年ぶり15回目の出場となる智弁和歌山は、昨秋の公式戦でチーム打率3割3分3厘、本塁打は全6試合で計7本を放った。
切れ目のない打線で大量得点
「日本一を狙う力のあるチーム。そのための練習をする」。主将の青山達史(2年)はそう自負しつつ、チームを引っ張っている。 和歌山1位で臨んだ昨秋の近畿大会では、持ち前の打撃力が光った。好カードとなった京都国際(京都2位)との1回戦では先制を許したが、青山の本塁打など14安打を放って逆転勝ちした。 準々決勝では社(兵庫3位)を序盤からリードし、付け入る隙を与えずにコールド勝ち。準決勝で報徳学園(兵庫1位)に逆転負けしたものの、大会3本塁打の主砲・中塚遥翔(2年)をはじめ、長短打を織り交ぜる切れ目のない打線が鮮烈な印象を残した。 走力のある多田羅浩大(2年)らが出塁して作った好機を、青山、中塚ら迫力十分の中軸でものにし、さらに下位につないで大量点を狙うのが攻撃スタイルだ。 4番に座る中塚は178センチ、86キロのがっしりした体格で、昨秋の近畿大会で3試合連続本塁打を放った。バットを思いきりよく振るのが特徴だが、状況に応じた打撃や確実性を高めようと練習に取り組む。中谷仁監督は「どうすれば4番として勝つための仕事ができるのか、考えてやっている」と期待する。
投手陣は左右の両輪が軸
投手陣の柱は球威のある右の清水風太(2年)と多彩な変化球を投げ分ける左の吉川泰地(2年)で、きっちり試合を組み立てることができる。 2年前の夏は小園健太(DeNA)、松川虎生(ロッテ)という後のドラフト1位バッテリーを擁する市和歌山に勝つために努力を重ね、最後は甲子園優勝まで上り詰めた。一方、優勝候補の一角だった昨夏の甲子園は初戦敗退。昨秋の近畿大会でも中谷監督を驚かすような新戦力は現れず、センバツ出場が決まっても絶対的な力を持つ選手が少ない分、チームの形は「未完成」という。