社員を幸せにする「MAKE HAPPY 風土活性課」ってどんな部署? パナソニック インダストリーの取り組みに迫る
企業と個人の関係が大きく変化する中、多くの組織が従業員にキャリア自律を求めるようになりました。人的資本経営を推進する上でも従業員の自律的な学びや成長を促す取り組みが欠かせません。一方で、経営層や人事からのトップダウンの呼びかけだけでは、なかなか従業員の自律を引き出せないと悩む声が多いのも事実。そこで注目されるのが、パナソニック インダストリー株式会社の「MAKE HAPPY 風土活性課」による取り組みです。同課が目指すのは従業員に挑戦の機会や新しい仲間とのつながりの場を提供し、チャレンジを応援して変革を楽しむ風土を作りながら、「変革が生まれる会社」を実現すること。その活動は社内複業制度を活用して多くの従業員を巻き込み、ボトムアップで運営されているといいます。現場社員の声からスタートしたプロジェクトは、どのようにして大組織の風土活性化に寄与していったのか。現在までのストーリーを聞きました。
人事主導で“実質トップダウン”のプロジェクトは2年目で活動が下火になってしまった
――はじめに「MAKE HAPPY 風土活性課」のミッションや活動内容についてお聞かせください。 パナソニック インダストリーは「未来の兆しを先取り、お客様とともに社会変革をリードする。」というVisionを掲げています。そのVisionを実現するための四つのCore-Valueとして、顧客志向と技術基盤、創造基盤に加えて「人財資産」を重視。人財を育む社内風土の活性化に向けてさまざまな側面からチャレンジしており、そのミッションを担うチームとしてMAKE HAPPY 風土活性課があります。 私たちが目指しているのは、従業員をハッピーに、そしてお客様をハッピーにするための組織風土を盛り上げること。「少し先の未来を、あなたと一緒に変えたい」をプロジェクトのパーパス(存在意義)に掲げ、従業員に対して成長・挑戦の機会や新しい仲間とのつながりの場を提供しながら、変化を楽しむ会社になるための後押しをしています。MAKE HAPPY風土活性課の役割は、従業員エンゲージメントを上げ、生産性を高め、パナソニック インダストリーの企業価値を向上させることです。 具体的な取り組みでは、従業員がハッピーになるための要件を満たすために「はぴ学®」(パーパス)、「はぴ会®」(関係性)、「はぴ色®」(自分らしさ)、「はぴ楽®」(心身の健康)の各テーマを置き、社外講師を招いた講演会や社内イベント、ワークショップなどを開催しています。 ――風土活性化に向けた取り組みはどのようにして始まったのですか。 パナソニックが創業100周年を迎えた2018年、当時の若手・中堅社員からの発案により、従業員満足度を向上させる取り組みとして「MAKE X HAPPY ®プロジェクト」が立ち上がりました。現在のMAKE HAPPY 風土活性課の前身にあたります。 経営幹部に提案して始まったボトムアップの取り組みでしたが、実際は人事が主導するトップダウンの活動であり、有志メンバーが本業とは別に、時間を何とかやりくりしながら進めていました。初年度は活発に活動していて参加率30%を超えていたのですが、取り組みが一巡すると翌2019年から動きが急激に鈍り、一部のタスクフォース活動だけが継続している状況で、参加率1%以下と下火になってしまったのです。「プロジェクトあるある」と言える状況だったのかもしれません。 実は、私もこのタスクフォース活動にメンバーとして関わっており、それがMAKE HAPPYと私との最初の出会いでした。 その後、私自身は直轄部門に異動し、経営企画を本業としながらプロジェクトの推進リーダーを務めることになりました。ロゴマークや“はっぴ”など、形として残っているものを活用するだけではなく、プロジェクトを立ち上げた人や関わってきた人たちの想いも引き継ぎたいと考えていましたね。