社員を幸せにする「MAKE HAPPY 風土活性課」ってどんな部署? パナソニック インダストリーの取り組みに迫る
「誰をハッピーにすべきか」を再定義し、ビジョン・ミッション・バリュー・アクションを言語化
――村社さんの挑戦はプロジェクトの立て直しからスタートしているのですね。まずはどんなことに着手したのですか。 最初に取り組んだのは仲間集めです。有志によるプロジェクトでは「この活動は業務にあたるのか、あたらないのか」といったグレーな部分が多く、“やりがい搾取”になりかねないと感じていました。旗振り役のメンバーは業務としていいとしても、これでは手伝ってくれる人が続きません。 そこで、本業以外にも社内の仕事を正式に担当できる社内複業制度を活用することにしました。募集を始めるとさまざまな部署から5名が応募してくれて、経営企画・人事・広報の各職能を持つ専門家メンバー3名を加えた9名で第3期の事務局メンバーを立ち上げたのです。 次に行ったのはターゲティング。それまでのプロジェクトでは“MAKE X HAPPY”として、「“X=誰か”をハッピーにするのか」を従業員の方に話してもらう取り組みを広範に行っていました。新しい事務局ではそれらの意見を集約し、「ハッピーにするべきXとは誰なのか」を徹底的に話し合ったんです。候補は従業員や家族、恋人、お客様、未来、社会など多岐にわたりました。そうした議論を経て検討した結果、最も意見の多かった“従業員”をメインターゲットに決定。従業員自身がハッピーでなければ、家族も恋人もお客様も社会もハッピーにできないと考えたからです。「“X”=従業員」と定義したので、“MAKE HAPPY”と “X”を抜いて、呼ぶようになったのもこの頃ですね。 ターゲットが求めていることを深く理解するため、従業員に向けたアンケートも実施しました。「従業員のための活動として私たちにどんなことを望むか」を聞いたのです。国内従業員の3分の1にあたる約4,000人の声が集まりました。 ――“X”の定義を明確にしたことで取り組みが加速していったのですね。 はい。事務局メンバーで6時間にも及ぶオンライン会議を開き、従業員アンケートの声をもとに、自分たちのビジョン・ミッション・バリュー・アクションを徹底的に言語化しました。 この言語化の軸となったのは、パナソニック創業者の松下幸之助が残した「日に新た」という言葉です。昨日より今日、今日より明日と新しいものを生み出し続けることを表しています。そうして、変革が生まれる会社を目指し、チャレンジを応援して変化を楽しむ風土作りを担うことをミッションとし、新しい仲間とのつながりや成長・挑戦できる機会という価値を提供することを定義しました。 このビジョンを明確にしてからは、メンバー一丸となってまとまった活動を連続して打ち出し、イベントや企画を次々と実現できるようにもなりました。プロジェクトを引き継いでから約3ヵ月の期間を要しましたが、必要不可欠なプロセスだったと感じています。