女性皇族の著書が発売3ヵ月で30万部! 彬子女王殿下によるオックスフォード留学記大ヒットの舞台裏
SNSでバズって…9年前に出版された単行本が文庫化
’04年から5年間、イギリス・オックスフォード大学に留学され、博士号を取得された三笠宮家の彬子女王殿下。その留学の日々を綴ったエッセイ集『赤と青のガウン』が’24年4月3日、文庫となって出版された。それから、わずか3ヵ月後の7月11日現在、30万部の大ベストセラーになっている。(以下《 》内は同書から引用) 【貴重写真!】ヨーロッパを移動する際は「格安航空券」を使うことも…旅行先でのスナップ 「現在の反響に、正直驚いています。ご留学を終えられたのは’09年。’12年から弊社の月刊誌『Voice』で始めた連載を単行本にまとめ、発売したのが’15年。それが今、こんなにも売れている。問い合わせや取材依頼も増えてきて、ありがたいかぎりです」 興奮気味に、こう話すのは、文庫化を手がけた担当編集チームの一人、PHP研究所の中村悠志さん。 そもそも10年近く前に出版された単行本が文庫化されるようになったのは、ある人物によるX(旧Twitter)への投稿がきっかけだった。 ドイツ在住の“かよさん”という投稿者が電子版『赤と青のガウン』の一節をキャプチャーして、「プリンセスの日常が面白過ぎる」との一文をつけてSNSにアップ。それが大バズリしたのだ。 「電子版の売り上げが急上昇したことは、編集部内でも話題になりました。当然、紙のハードカバーの重版も検討しました。ただ、そのときに、ある問題がわかりました。一般的な本ではあまり使用しない特殊用紙も使って、こだわり抜いた作品でしたから、本文の用紙が廃銘柄になってしまっていたのです」(中村さん) ところが、そうこうするうちに、彬子女王殿下から、単行本の重版についてのご相談が……。 検討の末、「かたちを変えて文庫版に。できれば、’24年4月に40周年を迎えるPHP文庫の目玉作品の一つとしての刊行を」という方向がみえてきたという。 彬子女王殿下は快諾。そこで今回、1人の著者であるけれども、皇族であり、また制作期間もさほど余裕がないということもあって、3人のチーム体制でこの文庫化に臨むこととなる。そして、打ち合わせのため彬子女王殿下のもとへ……。 「私は初めてお会いするわけで、さすがに緊張しました。応接室に通され、3人とも直立不動で、殿下をお待ちしました」(中村さん) ところが、彬子女王殿下が笑顔で気さくに話しかけてくださったことで、徐々にリラックスし、 「この本の面白かったところとか、ついつい調子に乗って話してしまいました」(中村さん)