ハリルJが抱える4つの不安
ピッチを離れたところでも、まったく別次元の不安が頭をもたげた。イラク戦が開催されるテヘランで、現地時間7日午前に同時テロが発生。多数の死者を出した忌わしいニュースは、シリア戦を控えた代表選手たちの耳にも届いていた。 ユーゴスラビア出身で、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争に巻き込まれた悲しい経験をもつハリルホジッチ監督は、試合後の公式会見で神妙な表情を浮かべた。 「我々がいま、生きている世界は少し狂っているかもしれない。ヨーロッパに目を向けても、いろいろと酷いことが起こっている。これが終わる日は来るのかと、私は思い続けている」 過激派組織「イスラム国」が系列メディアを通じて犯行を主張している。すでにテヘラン入りしている代表チームのスタッフから、「市内では特に大きな問題になっていない」と連絡が入っているが、不測の事態に備えて在イラン大使館との連携も今後は密にしていく。 好調だった香川を襲った不慮のアクシデント。海外組のコンディション。センターバック陣の連携。そしてテロへの恐怖と4つの不安を抱えながら、ハリルジャパンは予定通りシリア戦から一夜明けた8日にテヘランへ飛び立ち、勝てば6大会連続のW杯出場に王手のかかるイラク戦に備える。 (文責・藤江直人/スポーツライター)