「ダメ会社員」救ったネット〝普通の人〟に情報発信を勧める理由 過激化するSNS、優しい投稿のメリット
「あえて自分がする理由もない」「炎上してしまうのでは」――ネットが普及し、誰でもできるようになったからこそ、そんな懸念からためらってしまう人もいる情報発信。そんな中で、あるベテランブロガーが、会社員として働きながら1000日連続のブログ更新を達成しました。徳力基彦さんに、そのチャレンジの理由をたずねました。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎) 【画像】K-POPのNewJeans、こんなグループ ミラノ・コレクションでのハニの貴重な姿 <プロフィール>徳力基彦(とくりき もとひこ) 1972年生まれ。名古屋大学法学部を卒業後、新卒で入社したNTTを若気の至りで飛び出して、仕事が上手くいかずに路頭に迷いかけたところ、ブログとSNSのおかげで人生が救われる。その際の経験を元に、書籍『普通の人のためのSNSの教科書』を出版し、現在はnote社でビジネスパーソンや企業におけるnoteやSNSの活用についての啓発やサポートを担当している。また、ブロガーとして、日本の「エンタメ」の未来や世界展開を応援すべく、エンタメ業界のデジタルやSNS活用、推し活の進化を感じるニュースを、Yahoo!ニュースやYouTubeで紹介している。
「1000日連続更新」した理由
――徳力さんは20年以上、ブログを続けるベテランですが、9月にnoteでブログの「1000日連続更新」を達成しました。 達成したのは最近なんですが、実は「1000日連続更新」に最初に挑戦しだしたのは、ちょうどnoteに入社した直後なので、5年前でした。 勝手に人生の師匠と仰ぐでもあるさとなおさん(コミュニケーション・ディレクターの佐藤尚之さん)が、ご自身のアニサキスアレルギーの闘病とあわせた「1000日チャレンジ」を開始したタイミングで、私もメンバーのさとなおさんの私塾の仲間と、1000日間、何かを続けてみようという企画でした。 これは「世界のアイデアを日替わりで」をキャッチコピーに、海外のユニークなサイトを紹介していたブログ「100shiki.com」を、自分なりに受け継いだ挑戦でもあって。「100shiki.com」はこのテーマ一本で、18年間毎日更新という偉業を達成して、2018年にその歴史に幕を閉じました。 私はたった1000日連続更新を達成する過程でも2回ほど挫折しているので、あらためて「100shiki.com」はすごかったと身をもって感じました。 ――徳力さんもブロガーとして記事執筆の手が早く、また、量も多いことでメディア業界内で知られています。 私にとってブログやnoteの「記事」はあくまで「おしゃべり」をしている、という感覚なんです。 ブログやnoteの記事によって、自分の分身をネット上に増やしている。それによって自分がどんな人間なのかを知ってもらって、接点が増えていく。 毎朝、ビジネス系のニュースサイトやSNSをバッと見てまわって、興味がある記事や投稿を読んだり見たりして、一番、興味があったものを「こんなのあるよー」って昼飯のときに誰かに紹介するぐらいのノリ、メモで記事を書いているわけなんですよ。 昔はそれにトラックバックがついたし、今だったらSNSでコメントが届いて、そこからネット上に会話が生まれていく。リアクションが生まれるのってうれしいし、楽しいじゃないですか。 私は元会社員ですし、ビジネスの休憩中のコミュニケーションみたいな感覚で、noteを書いたり、SNSや最近はYouTubeにも投稿をしたりしているだけなんです。 未だに一般的な会社員の方だと、「ブログやSNS禁止」みたいな雰囲気がありますが、それってやっぱりもったいないと思うんですよね。小説家やエッセイストでなかったとしても、普通の人にも、情報発信をしてほしいと思います。