「ダメ会社員」救ったネット〝普通の人〟に情報発信を勧める理由 過激化するSNS、優しい投稿のメリット
感覚は“定年後再雇用”の今
――今はnote社に勤務する会社員なんですよね。経営者を経て、また会社員に戻られた理由は? はい、週に4日は会社員として勤務しています。私はまだ50代ですが、感覚としては定年後の再雇用に近いですね(笑)。 私は自分の能力的にも、ブロガーとしては専業では成り立たないと思っています。ブログだけで生活しようとすると、PV(閲覧数)や課金を求めるあまり、どんどん発信する情報が過激になったり、偏ったりしてしまう。 それはもしかすると、メディアも同じかもしれません。メディアのビジネスモデルに興味があるのはそんな理由です。 だから、「会社を辞めてブログで独立しよう」と言うつもりは一切ないです。あくまで、会社員をしながら情報発信をすることにも、たくさんメリットがありますよ、とおすすめしています。 ――確かに、近年の徳力さんの情報発信はいつも穏当というか、優しいアプローチで、過激なものはほとんどありませんね。 情報発信がクルマの運転にたとえられることがありますが、やっぱり過激なものは目立ちます。信号無視やスピード違反は注目されやすく、それがネットではマネタイズにつながってしまう。 クルマの運転は免許制ですが、情報発信は言論の自由から免許制にはできませんし、そうするのも不健全ですよね。でも、現状のままでいいんですか、というのは問いかけたいです。 北風と太陽のたとえですが、いくら「ダメ」と言ってもあまり効果がないかもしれない。それなら、好きなことを発信し続けることで、私自身にうれしい、楽しいことが起きていることも含めて、伝えていきたいな、と。 一方で、穏当な情報発信では影響力を持ちにくい、広げにくいという面があるのは事実でしょう。副業的なブロガーならよくても、専業のメディアには苦しい時代だと思います。 私は今はまた、「ブログで恩返しをする」ができる場所で、会社員をしながらブロガーとして活動できるようになりました。情報発信が「一部の特殊な人のもの」ではないと多くの人に感じてもらえるように、そのどちらも頑張っていきます。 【イベント開催します!】 徳力基彦さんも登壇する、withnewsの10周年イベント「【withnews10周年記念】ウェブメディア激動の10年 令和の温故知新フェス!」を、10月19日にオンラインで開催します。参加無料。 3部構成で、徳力さんがNHKコンテンツ戦略局副部長の足立義則さんと「ウェブメディア総論」について語る第1部は、14時からの開催を予定しています。徳力さんたち出演者への質問も受け付けています。 申し込み・詳細はこちら https://withnews10th.peatix.com/