「ダメ会社員」救ったネット〝普通の人〟に情報発信を勧める理由 過激化するSNS、優しい投稿のメリット
「腹黒い」と自ら語る狙いは
――では、「書いていなかった」エンタメ業界の記事を書きだしたのは、なぜだったんですか? 5年前に「ネットが少しでもポジティブなものになるような記事だけを書こう」と思った時に、「エンタメしかない」ってなっちゃったんですよね。 もともと、私はデジタルマーケティング支援会社にいたので、企業のソーシャルメディア活用が進むように、ネットの炎上事例の解説記事をよく書いていたんです。炎上には炎上が起きる理由がある。単純に言えば「悪いことをするから」とか、「初動対応を誤ったから」とか、「謝らないから」とか。 でも、最近はもう、悪いことをしなくても炎上してしまう例が増えていると感じます。というよりも、言葉の定義というか、「炎上だ」と誰かが騒ぐと炎上しているように見えてしまうというか。そこには取り上げるメディアの責任も大きいと思いますが。 炎上事例の解説記事を書く意味を見失っていたときに、前職のアジャイルメディア・ネットワーク株式会社から現職の株式会社noteに移りまして、それを機会にあらためて、ポジティブなものだけを書こう、と決めたんです。でも、それにはちょっとズルい意図もあって。 私はやっぱり、もっと多くの人にネットで情報発信をしてほしいと思っているんですよね。「好きなことを発信していると、こういういいことがありますよ」って見せることで、ネットの情報発信が増えるといいなという、ある意味で腹黒いアプローチをしているつもりなんです(笑)。 ――ネットを少しでもポジティブなものにしたい、という理由は、どのようなものなのでしょうか。 それはやっぱり、私はブログに人生を救われたと思っているからです。 20年前、大企業を飛び出してベンチャーに入ったものの、やることなすことうまくいかなくて、オンラインゲーム廃人になっていた。当時の私は本当にダメ会社員でした。 その後、ゲームの代わりにエネルギーをぶつけるように始めたブログがきっかけで、人とのつながりができたり、視野が広がったりで、前職の立ち上げに携わって、社長や、取締役、上場も経験できました。 でも、これって運がよかっただけなんです。もしあの頃、ブログブームが来ていなかったら、今の自分はありません。だから、その恩返しをしたい、同じように壁にぶつかっている人がいたら「こういうやり方もある」と見せたい、というのが一番ですね。