レモンカレーパン 高校生発案の新たな広島名物になるか 社長に一度却下されても情熱で商品化実現 イベントで一番人気に大成長!
高校生が企画・考案した商品を販売する広島市のイベントで、思わぬヒット商品が出現。その「レモンカレーパン」はカレーパン専門店でレギュラー商品として販売が始まった。高校生が初めて取り組んだオリジナル商品の開発の過程を取材した。 【画像】新たな広島名物レモンカレーパン
地域貢献のイベントでオリジナル商品開発
広島市安佐北区にある高陽東高校では、地域貢献を目的とした販売実習イベント「東市」を毎年開催していて、収益は地域に寄付している。 今回の「東市」は、2023年までのように、すでに売られている商品ではなく、ほぼすべての商品を高校生が業者とともにオリジナル商品を共同開発する形にした。ビジネスを学ぶ授業の一環として、生徒たちは商品の企画から販売までのすべてを経験することになった。 今回、注目を集めたのが「レモンカレーパン」だ。地元の「廣島カレーパン研究所」との共同開発に挑戦した生徒たちが提案したもので、広島の特産品「レモン」を使った新しい発想の商品だった。だが、開発の道のりは一筋縄ではいかなかった。
人気カレーパン店の社長は難色
廣島カレーパン研究所の大瀬戸尚社長は、実は高陽東高校卒業。高校時代の後悔をバネに、後輩たちに本気でビジネスを教えようと手厳しい。 大瀬戸社長は「俺がこの商品を売りますかと言ったら多分売らない。結局はお客さんが買ってくれるかどうかだ」と当初はレモンカレーパンに難色を示した。 しかし、生徒たちが熱意を持って何度も試作を重ねた結果、完成したレモンカレーパンは、想像以上の完成度に仕上がった。 廣島カレーパン研究所の城迫秀和常務・工場長は「レモンを使うのは初めてだったが、意外とおいしく、完成度が高い。広島の名物になったら面白い」と想定外の出来栄えに期待感を示す。 商品が完成すると、地元の小学生たちが手書きのポップを作成。「食べてみたい!」と思わせる工夫を凝らし、イベント当日に向けて準備を進めた。 販売当日は、ポップを作った小学生が応援に駆けつけるなど、地域一体となった盛り上がりを見せた。そして心配されたレモンカレーパンは、1番人気となり見事に完売。 お客さんからも「今まで見たことがない」「おいしい」と好評だった。 レモンカレーパンの考案に関わった岡田大翔さんは「売れるかどうか不安だったが、スタートがよく、ほっとしている」と一安心の様子。
レギュラー商品に
イベント終了後、レモンカレーパンは大瀬戸社長の決断で市内店舗での販売が決定。30年の経験でレモンのパンは売れたことがないことを理由に反対していた社長自身が「新しい発想でやってみることの大切さ」を学んだという。 大瀬戸尚社長: 僕も古くなったのかな?こういう上司がだめなんです。何でもやってみようとやらせないと。 高校生たちの熱意が生んだレモンカレーパンは、単なるヒット商品にとどまらず、商品開発の難しさと可能性を教える「ビジネスの教材」となった。生徒たちは、成功だけでなく失敗のリスクも含めて「ビジネスの本質」に触れる貴重な経験を得た。 (テレビ新広島)
テレビ新広島