【文理融合】「榎本石鹸」~明治初期の記録を読み解き、当時の製造法で復刻 沼田ゆかりさん
また、榎本の関心の主眼は学問と実業の橋渡し、すなわち工業化学にあったわけですが、それこそが榎本が旧幕臣でありながら明治政府の技官から大臣職にまでのぼり、殖産興業を主導できた背景といえるでしょう。 /一條亜紀枝(サイエンスライター)
榎本武揚(えのもと・たけあき、1836~1908年) 幕末・明治期の武士、海軍軍人、外交官、政治家。幕臣としてオランダに留学し、帰国後、幕府海軍の指揮官となる。戊辰戦争では旧幕府軍を率いて蝦夷地を占領したものの、箱館戦争で敗れて投降。投獄されたが助命され、明治政府に仕えた。駐露特命全権公使として樺太千島交換条約を結んだ。内閣制度開始後は逓信大臣、文部大臣、外務大臣、農商務大臣などを歴任し、子爵に叙せられた(画像は北海道大学附属図書館所蔵)。
プロフィール
沼田ゆかり(ぬまた・ゆかり) 小樽商科大学教授 1977年北海道生まれ。1999年北海道大学工学部応用化学科卒業。2004年北海道大学大学院工学研究科博士後期課程修了、博士(工学)。専門は高分子材料、高分子化学。2005年旭川工業高等専門学校物質化学工学科助手・助教、2010年同准教授。2013年小樽商科大学商学部一般教育系准教授を経て、2015年より現職。主な著書に『新版 教養の現代化学第2版』(共著、三共出版、2016年)、『小樽学 港町から地域を考える』(共著、小樽商科大学出版会、2023年)。