「東京ドーム約3個分の“森”をオープン」「ソラマチでは新鮮な野菜を使った健康ランチが食べられる!」…。実は売上減少の「養命酒」が狙う“起死回生”の秘策
こうした成功体験を重ねながら、タニタ食堂の味噌汁のような、看板商品の誕生に向けて挑戦は続いている。 ■養命酒が描く未来 今後くらすわが目指すのは、「DEAN & DELUCAにすこやかさをプラスしたブランド」という独自の立ち位置だ。赤字覚悟の投資であるくらすわ事業を経て、養命酒は、穏やかでありながらも変革を受け入れる組織へと姿を変えつつあるそうだ。 なにより、養命酒事業が縮小傾向にある中、この新規事業は、現場に活気と希望を生み出している。だからこそ投資を惜しまないのだ。
取材を通じて、くらすわのベースには、400年間で培った商品開発力、ものづくりの勘所があるのではと感じた。老舗メーカーのすごみ。そして今また、そのすごみを生かして、次なるステージへの挑戦が始まろうとしている。 「もちろん最終的には、数字的に成功することがマストです。時間をかけて結果を出していきたい。確固たるゴールに辿り着かなければなりません」と福盛さんは意気込む。彼がくらすわの店舗、くらすわの森をつくるなかで一番大事にしてきたのは、「目指す方向を一貫してぶらさないこと」。そして、「できるんだ」と言い続けることだという。この揺るぎない信念が、養命酒製造を未来へと導くに違いない。
笹間 聖子 :フリーライター・編集者