「東京ドーム約3個分の“森”をオープン」「ソラマチでは新鮮な野菜を使った健康ランチが食べられる!」…。実は売上減少の「養命酒」が狙う“起死回生”の秘策
■売上は順調に増加、利益面はこれから では、業績面はどうなっているのか。売り上げは、2020年の約6億円から、2023年には11億2,000万円に。2024年は15億4,000万円を見込んでいるという。これは、店舗とECでの商品販売を含めたブランド全体の数値で、なかでも、店舗の伸び率が高い。コロナ以降に徐々に客が戻り、今ではコロナ前の水準を越えた。 とはいえまだ、比重は圧倒的に養命酒のほうが高く、くらすわ事業のセグメント利益は2024年3月期で約4億600万円の赤字、2025年3月期も赤字を見込んでいる。まだまだ投資のフェーズなのだ。
「もう1本の柱にはなれていません。爪楊枝ぐらいです。しかし、これから必ず、柱に育てていきます」。そう福盛さんは決意を語る。 商品開発でも、試行錯誤の末に成功事例が生まれている。最近では、プレミアムパンシリーズを開発したそうだ。もともと、くらすわのベーカリーは、「添加物がほとんど使われず、小麦の香りがしておいしい」と人気だった。 そこに加えて、「高級食パンのように、昔から王道のものを突き抜ければブームが起こる」「なじみのものだからこそ、『いやこれは違うわ』とみんなが納得するものを作れればヒットする」と常々思っていたと福盛さん。
この発想から、食パン、あんぱん、クリームパン、ジャムパン、メロンパンと、5種類の「究極のパン」を考案、見事、数時間で売り切れるヒット商品になった。「特にあんぱんは、あんこから開発したこだわりのレシピです。食べてもらえば、ほかとはちょっと違うとわかっていただけるはず」と自信を見せる。 商品では、鍋の素や粥、にゅうめんなど、「おいしくて体によさそう」な雰囲気に加え、ほかにはない世界観、個性を持っている商品が売れ筋だ。たとえば鍋の素では、八角、シナモン、スイカズラ、クローブを加えた、コク深くスパイシーな風味の「黒養なべ」が人気なのだとか。そもそもは、諏訪本店のレストランメニューとして提供していたレシピを商品化したものだそうだ。