政府への提言、分科会で「異論なし」 注意喚起とGo Toは「一貫性なし」
政府は20日、有識者らによる新型コロナウイルス対策分科会(会長・尾身茂地域医療機能推進機構理事長)を開催した。分科会は、感染が急速に拡大していることに対し、(1)酒類を提供する飲食店の営業時間の短縮(2)地域をまたぐ移動の自粛(3)Go Toキャンペーン事業の運用見直し――などこれまでよりも強い措置を講ずるよう提言した。
分科会には公衆衛生の専門家など医療界のメンバーだけでなく、経済の専門家も入っている。記者会見した分科会の尾身会長は、「異論は出なかったのか」との問いに対し、「この基本的な考えに異論は出なかった」と語った。 尾身会長によると、経済専門のメンバーからも「この考えはいいし、やるべき時期に来ている。このまま放っておくと最終的には経済的にもコストが高くなるということをもう少し強調したら(どうか)という意見は出た」と述べ、分科会内で足並みが揃っていることを強調した。 尾身会長は、提言を出すにあたって「われわれは非常に悩んだ」と前置きしたうえで、「もともとステージの3相当になったら普通の行動、人々の努力だけでは感染拡大(を食い止めること)は難しい。もう少し強い(措置をとってほしい)ということは前から言ってきた」と説明した。 「いまの状況を何とか下火に打開するためには、日本の社会を構成する人々が同じ方向に向かない(とならない)。政府が、『感染を抑えてください』、『注意をしてください』、『飲食するときはマスクしてください』などの注意を促していながら、片一方でGo Toキャンペーンをやるということは人が動くことだ。これを続けてしまうとメッセージの一貫性がなくなってしまうという心理的な側面がある」とも話した。 7月、8月に感染者数が増加したいわゆる「第2波」についても「感染を下火にさせた1つの要素は営業時間の短縮だった」と振り返った。「短縮ということは人の動きが減るということ。そういうことが一般的な感染対策の理論。われわれ自身も実際に経験してきた。そういう経験・知見と、今回は、整合性がとれて、それを基にやっている。われわれがムードでやりたいということではない、と言いたい」と語った。