日本に定着したハイブリッド車、世界的な再評価へ!「政策頼み」で根付かない「EVの最新事情」が見えてきた
肝心な充電インフラの状況はどうなのか?
電気自動車の使い勝手を高める上で重要なのが充電インフラです。エネチェンジによれば、2023年時点で世界の公共EV充電器は390万台で、もっとも多いのが中国、続いてヨーロッパ、アメリカの順となります。特に中国は普通充電器が150万台、急速充電器が120万台設置されているという充実ぶりです。実際、中国に行くとショッピングセンターなどちょっとした施設にも充電設備が充実しており、高速道路のSAなどでも待つことなく充電できるようでした。 この状況に大きく後れを取っているのが日本です。2023年時点でその数は普通充電器で2万2000台、急速充電器に至っては9600台しかありません。日本政府は2030年までに公共用の急速充電器3万口を含む30万口の充電インフラを整備することを目指していますが、待ち時間なしで充電するにはこれでも決して十分とはいえないでしょう。 とはいえ、自動車の電動化への流れは決して止まることはないと思います。現時点でこそ、まだバッテリーの充電に要する時間が負担となっていますが、近い将来、こうした問題も解決されていく方向にあるのは間違いないからです。バッテリーの充電時間が短縮されたら電気自動車の使い勝手は大幅に高まり、小さなバッテリーであっても充電を繰り返す負担も減少してロングドライブもしやすくなるでしょう。それは電気自動車をより身近にできる大きな一歩となるはずです。 こういった状況から、すぐに電気動車の使い勝手を高めることが難しいのは事実です。そこで、エンジン車から電気自動車への橋渡し役として位置付けられるのが、日本で普及が進んで圧倒的シェアを持つハイブリッド車(HEV)なのです。【世界のHEV販売台数は約553万台で、新車販売の33.2%。それに対し、日本のHEV販売台数は146万台で、軽自動車を除く新車販売の55.1%。(※2023年時点)】 HEVは、エンジンと小さいバッテリーを上手に組み合わせることで、充電が不要な自動車としての使い勝手の良さと環境負荷を可能な限り低くできることを最大の特徴としています。まさにHEVはそうしたバランスの良さを最大限に発揮できるパワーユニットといえるでしょう。 このHEVのメリットはグローバルでも徐々に理解されてきているようで、当初はHEVをNEVから対象外としていた中国でさえも今では低燃費車として認定しているほど。欧米でもハイブリッドのメリットが再認識されるようになり、好調な販売を続けていると伝えられています。こうした状況を踏まえると、HEVはもう少し先まで活躍すると考えるのが妥当ではないでしょうか。
会田 肇