<城が語る>ハリルJの収穫は2年ぶりの清武ー香川コンビ
直前の親善試合でブルガリアがポルトガルに1-0で勝利していたとの触れ込みだったので、この試合への期待感が高まっていたが、時差なども含め、よほどコンディションが悪かったのだろう。3日、豊田スタジアムで行われたキリンカップの日本ーブルガリア戦は、7-2の大差がついた。ここまでのゴールラッシュになるとは予想できなかった。ブルガリアのこの日のレベル云々は横に置いても、日本は、9月から始まるワールドカップアジア最終予選に向けて、いくつか収穫を見せてくれた。 ひとつはサイドから崩す得点の形を作れたこと。右サイドを何度もえぐったことで、うまく中盤も流れて流動的な動きが生まれていた。特に目についたのは2013年11月のベルギー戦以来、約2年ぶりにコンビを組んだ清武―香川の連動性である。 香川ー本田(この日はコンディション不良でベンチ)とのコンビでは、どちらかと言えば、ポジションが固定され、動きも運動量も制限されてしまっているイメージが強かったが、清武とのコンビには、阿吽の呼吸があった。どちらも、ポジションにこだわることなく、お互いの動きに目をやりながら連動、香川の動き出しや、ボールを受けるタイミングも映えた。ブルガリアのディフェンスをうまく崩した。 3点目は、右サイドの小林から出されたグラウンダーのクロスを、清武が背後に香川の気配を感じてスルー。そのアクションで相手ディフェンスを翻弄すると、香川が絶妙のターンを入れて冷静にキーパーの動きを見てからシュートを決めた。いとも簡単なターンに見えるが、なかなかの高度なテクニック。よく周囲を見えているからできる動きでありアイデアだ。 おそらく好調だったブンデスリーガからコンディションを維持しているのだろう。代表で、あれだけノビノビとプレーをする香川を久しぶりに見た。高いテクニックを持ち、どちらかというとメンタルにだけ問題を抱えているが、今日のようなプレーを見せてくれれば頼もしい。清武との連動性の良さも手伝ったのだろうが、今後、スタメンがどのような組み合わせになっても、清武―香川コンビという強力なオプションに計算が立ったことは、決定力不足を課題とされているチームにとっては大きな収穫だろう。