「スマホ=悪者」は昔の話。記憶力アップをはじめ、スマホには良い面がたくさんあった!
オンライン教育の世界的リーダーが唱えるスマホの良さとは?
通話やインターネットの閲覧をはじめ、写真や動画を撮れたり、SNSやゲームを楽しめたり、電子マネーで支払いできたり、アプリで健康管理できたりとマルチな機能を備えたスマホは、多くの人にとって手放せないものになっていると思います。 もちろん筆者もスマホの多大な恩恵を受けている一人ですが、道端や電車、カフェなどで大勢の人がスマホとにらめっこしている光景を見ると、自分のことは棚に上げてふと不安に駆られることがあります。こんなに中毒性の高いものを使用して大丈夫なのか? 心身に悪い影響はないのか? などなど。実際、「スマホは体に悪い」といったネガティブな情報も巷にあふれていますよね。 しかし、それはスマホの一面しか見ていない偏った考え方で、ポジティブな影響もしっかりあると唱えるのが、スタンフォード・オンラインハイスクールの校長として知られる星友啓さんです。星さんは最新の研究を基にした著書『脳を活かすスマホ術――スタンフォード哲学博士が教える知的活用法』(朝日新書)において、スマホ使用による良い影響やそれを得るための適切な使用法を紹介。さらには、ゲームやSNSの効果、ネガティブな印象が広まった背景などにも言及しており、おかげさまで筆者はスマホ使用に対する不信感や罪悪感を減らすことができました。 では、スマホ使用によって得られる良い影響とは何なのか? 本書から一部抜粋するかたちでご紹介したいと思います。
「スマホは悪い!」と短絡的に考えるのはもったいない
今から遡ること十数年前。スマホ研究の初期には、実際にスマホで認知力が低下したり、心のウェルビーイングが失われたりすることを示す結果が報告されました。しかし実は、その逆の結果を示す研究も数多くあったのです。 科学的には、良い影響を示す結果もあったのだから、悪い結果だけに注目して「スマホが脳に悪い!」と結論づけることはできません。それは同時に、「スマホは脳に良い!」と結論づけることができないのと一緒です。 科学研究のプロセスにおいては、そうやって良い結果と悪い結果が出てきて、相反するデータに出くわすことはしばしばあること。そういった場合には、どういった面がポジティブな結果につながり、どういった面がネガティブな結果につながるのか、より細かい検証をしていくことになります。 そして実際、最近のスマホ研究では、どのような要因がスマホのポジティブな影響につながるか、またその逆につながるか、ということが細かく研究されてきたのです。 使い方や使用目的、年齢、短期や長期に違いはあるかなど、いろんなファクターが研究されて、それぞれにどのような影響があり、どれくらいの効果があるのかが評価されてきています。 つまり、現在のスマホ研究は、その評価が世界規模で熟成し始めていると言ってもいい、まさしく過渡期にあるのです。だから、ネガティブキャンペーンに吞み込まれて、「スマホは悪い!」と短絡的に考えてしまってはもったいないのです。最新の研究を踏まえて、うまいスマホの使い方で、ポジティブな効果を得ようとするマインドセットが大切です。