「何度やってもレジの金が合わない!」脱サラ中年バイトを「週5」で雇ったコンビニ店長が、物凄く後悔していること
また同じ時間帯に入っているアルバイトの女子大生からは、こんな相談も寄せられた。 「石黒さんからしつこく連絡が来るんですよ。断っても何回もご飯に行こうって誘われて……勤務中にもしょっちゅう手を触ってくるから気持ち悪いです」 桜井さんは期待していただけに、残念な気持ちになってしまったそうだ。 「私の方から注意はしたんですが、その後も直らなかったみたいなので、女子大生のシフトの時間を変える事で対応しました。申し訳ありませんと言葉は丁寧なんですが、中身は反省してないような、ごまかすようなそんな印象を受けましたね」 それから1ヶ月後、問題は起こり始めた。 スタッフがレジの点検をすると、3000円の金額の違いが起こっていたのだ。 「3000円の違いはこれまで無いこともなかったので、たまにあるお釣りの渡しミスかなと思いました。でもそれからしばらくすると、今度は2000円増えていたり、5000円マイナスになっていたり、金額の違いが頻繁に起こるようになっていたんです。 さすがにまずいと思ったので、レジ点検の回数を増やしたり、チェックを厳しくしました。スタッフからは文句も出ましたよ。ただでさえ忙しいのに、余計な手間がたくさん増えるんですから……」 桜井さんも防犯カメラで何度もチェックしたそうだが、詳細はわからなかったそうだ。 地区でも上位の売上を持つこの店には、毎日たくさんのお客様が来店する。 たった1時間分、全てのレジ映像を見るだけでも、骨が折れる作業だった。 「中々直らなかったので、もし金額に違いが出た場合はその時間帯のシフトのメンバー全員に罰が渡るようにしました。スタッフからは不満がありましたが、そしたら金額の違いが少し減ったんです」
しかしお金の問題が解決したかと思ったら、今度は別の問題が発生した。 コンビニでは3ヶ月に1度、店内の在庫を計算する店卸が行われるのだが、そこで大量のタバコが無くなっていたのだ。 「タバコもレジの隙間に落ちていたり、似たような商品の打ち間違いで何個か違いが出ることはあります。でも今回は合計で40個以上タバコの数が違っていました。明らかにレジを通さず渡しているか、盗まれている可能性があると思いました」 そんな数多くの問題が起きている中、石黒さんに疑いの目を向ける人も多かった。 桜井さんも石黒さんが怪しいとは思っていたが、憶測だけで犯人と決めつけるわけにも行かない。 「もちろん石黒さんがなにかやっている可能性はあると思いました。でも証拠はないですし、別の人間が関わっている可能性もあります。全員に向かって対策を打っていくしかなかったんです」 ところがある日、事態は大きく変わってしまった。石黒さんが入ってから半年ほど経った頃、突然お店に警察から電話がかかってきたのだ。その日は石黒さんのシフトが休みの時だった。 ☆後編では、モンスターバイトが犯罪に手を染めていた経緯が、警察によって明らかにされる。社会を移す鑑とも言われるコンビニの実態を、詳細をぜひ読み進めてほしい☆ 取材・文/鮫島祐樹 写真/getty images