「妻とは別れる」既婚医師の甘い言葉にほだされ、妊娠してしまった…。34歳看護師の転落劇とは
病院で緊迫した時間を一緒に過ごすなかで、恋愛感情が
莉子さんは大学病院に勤める看護師。そして彼は同じ病院、同じ科の医師でした。「彼は尊敬できる医師の1人だった」と莉子さんは評します。二人は24時間、緊迫したなかで仕事をする日々で、共通の話題はだいたい仕事の話。一日を振り返って「あれで良かったのか」「こうすれば良かったのではないか」と活発な意見交換をするうちに恋愛感情が生まれたそうです。 実際のところ、仕事の愚痴を嫌な顔せず聞いてくれるし、体力的、精神的に辛いときは、いつも優しい言葉をかけてくれる。彼の存在は「心の支え」だったと莉子さんは言います。「緊迫した空気から抜け出したときに、ホッとできる時間が欲しかったのです」と。 しかし、彼には妻子がいます。「でも、はじめは既婚の人と付き合うつもりなんて全くなかったし、こんなに長い間、関係が続くとは思わなかったから…」莉子さんはそんなふうに弁明します。 莉子さんが筆者の事務所へ相談しに来たのは、莉子さんの気持ちに迷いが生じたタイミングでした。冒頭で述べた通り、莉子さんは3つの問題を抱えていました。
浮気相手を「父」として表記したい場合、戸籍はどうなる
まず1つ目は戸籍の問題です。莉子さんは「戸籍はどうなるんですか?」と不安そうな顔を浮かべます。 結婚期間中に妊娠した子どもの父親は原則、夫という法律があります。(嫡出推定。民法772条)そのため、筆者は「このまま出産し、出生届を提出した場合、戸籍上、新生児の父親は彼ではなく『夫』になりますよ」と説明しました。それでも父親の欄を夫から彼へ変更したいのなら、夫にありのままの事実を伝え、「協力して欲しい」と頼まなければなりませんが、莉子さんは動揺を隠せません。 具体的には家庭裁判所に嫡出否認の申立をし、夫と子どものDNAを鑑定し、科学的に「親子ではない」と判定されれば、父親欄を白紙にすることが可能です(民法774条)。今年4月から法律が改正され、申立の期間が出生1年から3年に変更されました。(民法777条)。その上で彼が子どもを認知すれば、父親の欄には彼の名前が表記されます。 法務省によると家庭裁判所へ嫡出否認の訴えをし、訴えが認められたのは142件(2014年~2016年)。一方、出生数は3,027,074人なので全体に占める割合は0.004%しかありません。 莉子さんは「子どもを産もうと思っていました。望んでできた子だったから。そのときは彼のことが好きだったし、子どもは大好きだから嬉しかった。女の人は結構、そう思っている人は多いんじゃないかしら?男は無責任だけれど、女は純粋だから」と振り返ります。 ドラマでは美羽(演:松本若菜)が夫の宏樹(演:田中圭)に対して「子どもの名前をつけて欲しい」と頼み、実際に名前をつけました。当初は夫婦の子どもとして育てるつもりだったのでしょう。しかし、途中で宏樹は自分が父親ではないことに気付きました。宏樹は戸籍を修正する手続に踏み切るのでしょうか? 本記事では、莉子さんが不倫のすえ妊娠したこと、産むことを希望していることを、ドラマに絡めてお伝えしました。 続きの記事では、このまま莉子さんが子どもを産んだ場合の慰謝料や養育費について考えます。
男女問題専門家(行政書士、ファイナンシャルプランナー) 露木幸彦