カニも? 風営法フリーの“クレーンゲーム”、主婦が沼る後発のDMM版
北海道産ズワイガニも景品に
まず挙げられるのが、景品の豊富なラインアップだ。リアルのクレーンゲームも充実しているが、DMMオンクレはそれらをはるかにしのぐ。 不動の人気を集めるフィギュアに加えて、トイレットペーパーや歯磨き粉といった日用品から食品、あるいは北海道産のゆでズワイガニなどのご当地ものまでと幅広い。3000種類以上をそろえているという。 プレー1回当たりの料金設定は150~220円が最も多い。最安金額は10円で、最高金額は800円だ(24年9月時点。実際には専用通貨などに換えてからプレーする)。 ダミー景品制を取り入れるオンクレ市場では景品拡充を強化する傾向が見られるが、その中でもDMMオンクレの品ぞろえはトップレベル。利用者の多様なニーズに応え、フィギュア類には興味がない主婦層などの取り込みに成功している。 また、YouTuberや著名人とコラボした限定コラボグッズも、DMMオンクレの強みだ。YouTuberやYouTubeチャンネルを持つ著名人とのコラボは、1カ月当たり10件前後もある。 コラボを企画し、許諾を得て発売にこぎ着けるには労力がかかるが、これをきっかけにした新規利用者の獲得効果は大きい。コラボ相手が自身のチャンネルでDMMオンクレを紹介してくれるというメリットもある。 こうした景品は、どんどん入れ替えられており、利用者を飽きさせない。DMM.comオンラインクレーン事業部事業部長の松縄貴重氏は、「昨日と今日で景品の顔ぶれが全く同じでは、プレーしたいと思ってもらえない」と説明。そのため、フィギュアやコラボ商品を担当する部署と、食品や日用品を担当する部署に分かれ、新たな景品の選定・追加を続けているという。 ●画期的な仕組みを導入 24年3月に業界初の仕組みとして導入した「ゲットゲージ」も、DMMオンクレ人気に拍車をかける。これはプレー回数に応じてゲージ量がランダムでたまり、満タンになると景品を獲得できるというもの。一つの目安にすぎないとはいえ、獲得できるまでの到達度が可視化される点は画期的だ。 通常、クレーンゲームは「取れそうで取れない」という絶妙な難度に設定されており、ゲットゲージは利益率を圧迫しかねないように思える。その点について、松縄氏はこう説明する。 「ゲットゲージがあることで、利用者は安心してプレーを楽しめる。新規参入者の取り込み、ひいては利用者のライフタイムバリュー(LTV、顧客生涯価値)向上にもつながっている」