難航した救援 能登地震発生から2カ月、自衛隊が果たした役割は――派遣を担当する参事官が明かす
給水、給食、入浴、物資輸送 震災2カ月も自衛隊の活動は継続
自衛隊は発災以来、給水、給食、入浴、物資輸送の4つの活動を継続して行っている。熊本地震のときには約1カ月半で活動終了となったが、能登では2カ月が経過したいまでも活動が継続しており、見通しが立っていない。 「一番大きなポイントは、水道の復旧です。7割以上復旧している地域もある半面、珠洲市ではまだ3割にも至っておりません(2月27日時点)。上水道が復旧すれば飲み水は出るわけですが、重要なのは下水道。下水道が復旧しなければ、生活排水ができず、お風呂や洗濯などができない」 田中さんは今も現地で実態把握に携わる。週に2回ほど開催される現地の対策本部会議に出席し、それ以外の日には被災地全域を回り、部隊の視察や自治体の首長と面会する。 「現場を見ることはものすごく重要です。例えば、入浴者数が減少していたとすると、減った分はどこか別のところで入っているはずです。我々が知らないところでボランティアさんが入浴支援をしているのかもしれない。そういう分析する材料を収集した上で、首長さんにも直接会って話を聞く。それによって自衛隊としていま何をすべきなのかが見えてきます」 田中さんは「自衛隊は自己完結的になんでもできる組織だ」と語る。それは逆にいうと、自衛隊が活動終了するまで、被災地では生活に不可欠な要素が整っていないことを示している。 --------- 小川匡則(おがわ・まさのり) ジャーナリスト。1984 年、東京都生まれ。講談社「週刊現代」記者。北海道大学農学部卒、 同大学院農学院修了。政治、経済、社会問題などを中心に取材している。