「ヘルメット無しでLUUP」はやっぱり自殺行為…自転車は「歩行者の仲間」という大誤解が生んだカオス
ヘルメットをかぶらずに自転車や電動キックボードに乗るのはなぜ危険なのか。自転車評論家の疋田智さんは「歩行者に比べると、衝突エネルギーがスピードに応じて等比級数的に大きくなるため、事故が起きるとぶつかった側にとっても、ぶつかられた側にとっても『凶器』となる。歩行者の仲間だと思っている人は考えを改めたほうがいい」という――。 【図表】都道府県別ヘルメット着用率 トップ10・ワースト10 ■数々の「不幸中の幸い」で回復の一途 前回、高校1年生の長男が自転車で走行中に交通事故に遭ったことを報告した。全治2年(歯の再建含む)という大けがをしたが、ヘルメットをかぶっていたおかげで命が助かったという話だ。 前回記事:ベンツにはねられ、顔の下半分がグジャグジャに…自転車乗りの息子の命を救った「ヘルメットの奇跡」 事故後は「不幸中の幸い」が数々重なって、息子は回復途上にある。最近、仮歯(差し歯群)を入れたら見た目はまあまあ自然に近くなった。でも、発語障害と咀嚼力低下は残っている。 学校にも通えるようになり、少しずつ以前の日常を取り戻しつつあるところだ。お見舞いメールなどもたくさんいただき、励ましていただいた皆様に、息子ともども感謝したい。 ■歩行者もヘルメットをかぶる時代? さて、記事は色んなところに拡散されて、予想外のことが色々起きた。各地の小中学校や自動車教習所などから「この写真を使わせてくれないか」とのオファーが届いたし、ヘルメット装着率が全国最悪の大阪府(後述)議員からは、府議会で取り上げさせてほしいとの要請もあった。 しばらく会ってない友人から「大丈夫か、大変だったな」などと連絡が来たりもした。こちらとしては、ありがたい限りで「大丈夫だ、ヘルメットのおかげで脳が無事だったから」なんて話をするわけだが、そういう世間話の中でこんな冗談話が出てくる。 「物騒な世の中だからな、これからは歩行者もヘルメットをかぶらなきゃならんかな、わははは」なんて。 もちろん「歩行者にもヘルメット」なんてのは冗談に過ぎないが、でも、どうだろう。ふと思うのだが、なぜ自転車にはヘルメットが必要で、歩行者はヘルメットが要らないのだろうか。そこには理由がある。