「ヘルメット無しでLUUP」はやっぱり自殺行為…自転車は「歩行者の仲間」という大誤解が生んだカオス
■国がヘルメットを義務化した結果… 逆にオーストラリアやニュージーランドなどヘルメット装着率100%の国もある。これらの国は法律で装着が義務づけられており、かぶってないと即座に罰金(日本円で1万5000円程度)が徴収される。だから100%だ。 一方、ネガティブな結果として、女性の自転車利用率が低くなったというデータもある。髪型の問題か、女性はヘルメットを嫌うものだから。 日本はどうだろう。 日本の「17%」というデータは、おそらく「チャリは歩きと一緒」だからかぶらない、という人が多いという表れだろう。それは日本だけが「自転車は歩道を走るのがスタンダード」としてきたことと無関係ではない。そして、同時に日本の自転車事故率が先進諸国の中で突出して高いという事実とも無関係ではない。 本来的に、自転車は車両であり、自他を守らねばならない移動体なのだ。私は「完全義務」として国家が強制するのはどうかと思うが、自分はかぶるし、息子にも娘にもかぶれという。 でも歩行中はかぶらないし、かぶれとも言わない。ちょっとでも考えてみたら分かる「当たり前のこと」だろう。 ---------- 疋田 智(ひきた・さとし) 自転車評論家 1966年生まれ。東京大学工学系大学院(都市工学)修了、博士(Ph.D.環境情報学)。大東文化大学社会学研究所客員研究員。学習院大学、東京サイクルデザイン専門学校等非常勤講師。毎日12kmの通勤に自転車を使う「自転車ツーキニスト」として、環境、健康に良く、経済的な自転車を社会に真に活かす施策を論じる。NPO法人自転車活用推進研究会理事。著書に『ものぐさ自転車の悦楽』(マガジンハウス)、『自転車の安全鉄則』(朝日新聞出版)など多数。 ----------
自転車評論家 疋田 智