「会社がつらい」同期トップ入社の彼に起こった事 「発達障害グレーゾーン」の人たちの特徴とは?
成績は優秀なのに、仕事になるとなぜか失敗が多い、遅刻癖がある、依頼した仕事より、自分の興味関心のある仕事を優先する―――。職場にこういう方はいないでしょうか。コミュニケーションがうまくとれない、モヤモヤする人は、もしかすると「発達障害グレーゾーン」の人かもしれません。 公認心理師として企業や団体でカウンセリングをする舟木彩乃さんは、相談ごとの中に、発達障害グレーゾーンの特性から来る問題がひそんでいることが多いと指摘します。著書『発達障害グレーゾーンの部下たち』より、一部抜粋・編集してご紹介します。
■発達障害グレーゾーンとはなにか みなさんの部下に、次のような項目に当てはまる人はいないでしょうか。 ・場の空気や雰囲気を読むことが苦手 ・表情や声の抑揚が乏しい ・ルーティンを乱されると不快感を表す ・悪意はなさそうなのに、よく人を怒らせている ・音にストレスを感じやすい これらは「発達障害」に見られる特徴の一部です。 発達障害は、脳のさまざまな機能の発達に関する障害のことを指し、先天的(生まれつき)なものとされています。カウンセラーである筆者は、このような特徴によって職業生活が妨げられているようなケースの相談を受け、「部下は(自分は)発達障害の可能性があるのではないでしょうか?」と聞かれることがあります。
近年、「発達障害」という言葉が広がってきたからだと思いますが、実は発達障害という単一の疾患があるわけではありません。 発達障害とは、「自閉症スペクトラム障害:ASD(Autism Spectrum Disorder)」(自閉スペクトラム症またはASD)や「注意欠如/多動性障害:ADHD(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)」(注意欠如・多動症またはADHD)などの障害の総称です。
さきほどの特徴も、ASDとADHDに見られるそれぞれの特徴を挙げたものです。職場の発達障害に関する相談で圧倒的に多いのがこの2種類であることから、本書ではASDとADHDを対象として、「発達障害」という表現を使います。 「グレーゾーン」は、発達障害の傾向がありながら、その診断がついていない人たちです。 グレーゾーンは発達障害の「傾向」があることで、「グレーゾーン」という診断名が存在するわけではありません。自分は発達障害かもしれないと思って医療機関を受診した場合、その傾向はあるものの診断名がつくほどではないときに、医師から「発達障害の傾向があります」などと告げられます。