「会社がつらい」同期トップ入社の彼に起こった事 「発達障害グレーゾーン」の人たちの特徴とは?
これまでは彼の“こだわり”によって作成した市場調査の資料などが、社内外でほめられることが多く、会社でも頭脳明晰で、「同期期待の星」などと言われていたのです。 しかし、最近では、クライアントから「話が通じないので担当を変えてほしい」と言われたり、同僚から「分析だけでなくて、プレゼンの仕方を勉強したほうがいいんじゃないか」などと指摘されて、自信を喪失し、会社に行くのがつらいと思うようになってきたそうです。
■「傾向がある」との診断結果 Aさんは自分の特性をネットで調べ、発達障害の1つである“自閉スペクトラム症”に行きつきました。そして、「自分は自閉スペクトラム症ではないか」と筆者に相談にきたのですが、その後受診した精神科では「その傾向がある」と言われました。 自閉スペクトラム症の特徴としては、言語以外のメッセージであるメタメッセージ(表情や声色、ジェスチャーなど)が受け取れない、固執傾向(こだわりが強い)、相手の立場に立つといった想像力が働きにくいなどがあります。
言葉によるコミュニケーションは、言葉自体によって20%、メタメッセージによって80%伝えられるといわれており、メタメッセージの読み取りがうまくいかないと。“空気が読めない”ということになってしまいます。 近年、Aさんのように社会に出て初めて、この障害(グレーゾーンを含む)が自分にあることがわかったという人が増えているのです。 発達障害に関して、カウンセラーである筆者のところに相談にくる人は、本人が「自分は発達障害かもしれない」と思っているパターンのほか、「部下が発達障害かもしれない」と、部下の発達障害を疑う上司も少なくありません。
後者の場合、上司は、部下の仕事ぶりや言動に悩まされていることが多く、すでに両者の人間関係に問題を抱えている場合がほとんどです。 ■部下がグレーゾーン? と思ったら 筆者は、上司のメンタルケアなども視野に入れながら、どのような言動から部下の発達障害を疑うにいたったのか、そのエピソードをていねいに聞くようにしています。それと同時に、部下を発達障害と決めつけているような上司に対しては、疾病性(診断名)にこだわるのではなく、事例性(仕事に出ている影響)で検討していくよう促すことを心がけています。