高級ブランド撤退など求心力低下の危惧も、水戸駅前中心街で生まれ始めた再興の芽
自転車・徒歩利用、徐々に成果
水戸市は東京都心から100キロメートル圏に位置する。江戸時代には水戸徳川家の城下町として、関東では江戸に次ぐ都市に発展した。一方で、地理的・歴史的な要因から、茨城県内は人口が各地域に分散している。 また、東京都心とつくば市を結ぶつくばエクスプレス(TX)が05年に開業したことで、都心やTX沿線地域への人口移動が進んでいる。 人口の分散から、もともと公共交通機関を使う習慣が薄く、茨城県民は自動車移動が中心だ。重ねて大規模商業施設の立地を抑止する法律の廃止や、水戸駅前にあった県庁が1999年に水戸市南部に移転したこともあり、人口の郊外への流出が加速した。 さまざまな取り組みの成果も出てきた。中心市街地活性化基本計画では、エリア12地点で平日と休日の2日間、歩行者と自転車の通行量を計測している。合計した歩行者通行量について23年度は、基本計画1年目の16年度比12・6%増の11万2941人だった。 倉川係長は「一時的な落ち込みもあったが、全体では人が増加に転じている」と解説する。市は周遊性を高めるレンタサイクル設置や飲食店ガイドの作成も手がける。高橋靖市長は中心市街地のまちづくりについて「市民会館を中心として、中心市街地のさらなるにぎわいの創出につなげたい」とコメントしており、人の交流を促す。